第43話 デジタル思考とアナログ思考

 アナログ回路とデジタル回路にはそれぞれ差動増幅回路と否定的論理積という万能素子があり、それらの扱いに長けているのがデジタル技術者やアナログ技術者である。いずれも複数の回路を封入した集積回路として販売されている。

 デジタル偏重の昨今の日本では否定的論理積回路の扱いに長けた人は多く、小学生でもそれを組み合わせていっぱしの解法となる回路を設計できるが、差動増幅回路の方は、中学技術家庭科の範囲内だが、それを組み合わせてソリューションを設計できる人は一握りである。

 デジタル回路の基本単位である否定的論理積はアースと電源とは別に入力が2つ、出力がひとつついている。入力が両方ONになると出力はOFFになりそれ以外ではONとなる。組み合わせが2bit即ち4通りしかないので網羅することも他の回路と組み合わせることも考える量は少なくて済む。

 アナログ回路の基本単位である差動増幅回路の端子も似たようなものであるが、機能が異なる。2つの入力の差を無限大に増幅する。もちろんこの無限大というのは「理想のオペアンプ」と呼ばれる概念としての存在であり、現実的には振幅は電源電圧で頭打ちになるし、とんでもない倍率(1万倍〜10万倍)ではあるものの有限倍率である。この極端な増幅倍率という性質を利用したオーバードライブエフェクターやコンパレータの代わりといった使い方もあるが、オペアンプを使ったソリューションの真骨頂はフィードバッグにある。出力にフィルタを挟んでふたつの入力のどちらかに戻すことで様々な回路になる。代表的なフィードバッグ結線は教科書に紹介されており、それを基本としてシステム全体を設計する。

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