社会を読み解くキーワード
第41話 資本の一般的定式
「G→W→G'(G+⊿G)」
数式やらドイツ語読み(ゲー、ヴェー、デルタゲー)で虚仮威ししてるだけでそれは平易な日本語で表記すると以下のようになる。
「貨幣を財に交換し、財を貨幣に交換する。後者の貨幣ははじめの貨幣に剰余価値を付与される」
ただし厳密に言うと以下2つの視点より、この日本語表記はミスリードが含まれている。
・この式は観測される特定の事実を記したものであり、常に成立するものでも、そうしなくてはならないものでもない。そういうふうに動かしてる資本主義市場におけるプレイヤーが居るという以上のものではない。
・剰余価値は必ずしもプラスの値を取るわけではなく常に変動し、取引ごとに一定ではない。剰余価値がプラスになる財から通貨への交換のことを「命がけの飛躍」と呼ぶ。むしろ大切なのは後段のW→G'(G+⊿G)が命がけの飛躍であるということを認識することにある。 すなわち、WからGへと交換する取引が成立しないでいつまでもWのまま不良在庫になることも、処分できても見切りで⊿Gがマイナスの値を取ることもある。
交換できなくても、⊿Gがマイナスの値を取ったとしても、それが慢性化すると賭けた命を削る、すなわち再生産ができなくなりその産業が消滅する運命にある。これは1円でもプラスならばその産業は存続でき、1円でもマイナスならばその産業は消滅する運命にあると言える。
この式で描かれるビジョンは多岐に渡る。
・再生産が軌道に乗るとどんどん剰余価値が上がる
・⊿GをGに向けて次の⊿Gを大きくしたくなる(投資の正帰還)
・再生産を続けられない産業は滅亡する。
・発芽した産業を潰すには⊿Gをマイナスにするようにすればいずれ資金が尽きる
・大資本は自らの地位を守るために新しい産業に妨害をする動機がある
資本に正帰還構造がある。一般的に正帰還構造とはどういう結果を招くか……
破滅
である。悔い改め、いたずらに⊿Gを必要とする構造を修正しなくては待ち受けているのは破滅しかない。資本主義は遺伝子レベルで投資し続けないと死んじゃう病を持って生まれてきたのだ。
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