第40話 冬至時代を越えて……。

 モクモク玉と黒いオーラを放出する聖遺物を使うことで冬至の時代という人類存亡の危機を人間数千万個体の単位で乗り越え30年が経過した。まだまだ5000年は油断出来ないが、当面の危機は去った。文明の多くは生命と引き換えに失われた。文明の利器、そういったモノの存在も動作も覚えているがどうやって作るか皆目見当もつかない。とりあえず、土器の作り方は覚えてる。種を蒔くことも覚えてる。動物の排泄が窒素固定になることも覚えてる。人を食らう生物を加熱調理で食糧から排除することも覚えてる。火の起こし方も覚えてる。先の文明のものとは比較にもならないほど効率が悪いし不便だが生きていくだけならばたぶんなんとかなる。ひとつひとつの効率が悪いなら数で稼ぐ。生き残った文明を享受するだけで何ひとつ担えなかった者たちを見つけ次第このノウハウを引き継ごう。

 先の文明は到達すべき高度共産社会に辿り着く前に資本主義の食い物にされて滅びてしまった。

 次こそは超古代文明の聖遺物なんか使わないで人々の力だけで、雪景色や満天の星空を恐れないで済む社会を建設して越えられますように。


――そして俺は神に列せられた……――

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