第35話 それなら今何をするかわかっているはず

 ルシフェル。それは大魔王とかサタンと呼ばれてる存在だ。何故そのように呼ばれているのか、今目の前で強く印象つけられた。


「わたくしめ、このルシフェルは人類の守護者にしていついかなる時も人類の味方です。勘違いなされぬよう。」


………。


「神は残酷です。何もしなければ次の冬の時代を乗り越える事は出来ず、全人類が滅亡するところでした。どうしょうもなくなったら手を下そうとは思っていましたので、主がこれを気に病む必要はありません。しかし、光があたっていながらそれに気付かない主も大概なもんですね。どうしてこの政府、財界がおかしいということに気付かないのでしょう?鈍感にも程があります。」


まず、ルシフェルが女だなんて聞いてない。目の前で大規模破壊を見せつけられ、責められている。情報量多すぎてどう反応していいかわからないよ。


「いいですか?いまの地球は冬の時代です。夏の時代と比べて取り込める太陽エネルギーの総量は1%落ちています。」


「たった1%じゃん」


「たった1%……ですね。されど1%です。それは人類が使うエネルギー総量と同じ量です。そして来る日も来る日も1%少ないんですよ。それなのに満天の星空を見るために気候操作までして帝都の空を晴れさせてしかもブルジョワジーたちはそこに暖房してせっかくの熱収入分をそこで燃やしてわざわざ宇宙空間に毎日毎日放射冷却してる。雪山に素っ裸で登山するのと同じ愚行です。」


「本人が良ければいいんじゃね?」


「主はそれをすることをお望みですか?」


「いや。やらんよそんなアホなこと。」


「でも、他人を素っ裸にして登山することを強制して自分だけは火を焚いて暖をとってる現場監督が居たら?」


「そいつを火に突っ込んで服着る」


「ですよね。ですから今、それをしました。彼らも内心では誰かに背中押される事を望んでいたはずです。」

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