第33話 伝承された秘伝の確認
「まず、主が今どの程度認識しているのか確認させていただきます。」
えぇ~!なんかゴリラに肩をポンと叩かれたことが試練の始まりだなんて聞いてないよ。
そして、天文学のこと、大気組成に地殻、植生、動物のこと、人間のこと幅広く確認された。とはいえ全てこの腐れ資本主義社会が使いやすい人材、いや均質化された素材として用意するために挽臼に掛ける前の下拵えのために用意した公教育のうち義務教育とされている最低限の範囲の内容だったので、そりゃぁ普通そらで言えますわな。なんか馬鹿にされた気分。
平均的な大気組成は体積比で不活性ガスの窒素78%アルゴン1%、酸素20%、水蒸気が1%やや下回る程度、水の熱容量と気化熱と融解熱とか、天体が楕円軌道出運行するとか、地軸が公転面に対して23度傾いているとか、放射冷却とか背景放射とか。C4光合成とか、食べられる植物とか、中学で習うっつうの。なんならマセた小学生でも知ってる。しかしこう並べてまとめて確認されるとたった9年でえらい詰め込んでたんだなと感心した。労働者を作るためだけにしては意外にやるじゃんクソ公教育制度。
「予想よりはだいぶきちんと伝わってるようですね。安心しました。」
「もしかして……無産階級の浮浪者だからってバカにしてますか?」
「ありえないことです。ただ主を試させていただいただけです。」
人を試すのも本当は良くないが、人格的な話じゃなくて義務教育を受けたかどうかって話じゃないか。それくらいそこらの鼻タレ小僧でも一個も間違えずに言えるぞ。
「では、なぜこの寒波の中、焚き火もせずに無抵抗にただ凍えて、死を待っているのですか?そしてそこに食べられる植物もたくさん生えているではありませんか?なぜそれを焚き火で調理して食べないのですか?」
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