ONCE AND FUTURE LADY.
第31話 引き継がれた使命
悪魔の挽臼帝国資本主義に追い詰められ、何もかも失い極寒のなか朦朧とする意識でオレは神に祈りを捧げた。
すると意識が飛び、雄雌二頭のゴリラが目の前に現れ胸をドラミングしてポコココココと会話を始める、そして二頭で見つめ合うと、雄ゴリラのほうがポンっと肩を叩く。
そこで意識が戻った。今のはいったい何だったんだろう?祈ったのは神に向かってだ。ゴリラに向けたつもりはない。しかしそこに唐突にゴリラが現れたということは、あのゴリラには何か意味がある。人は想念で現実に存在しない見たいものを見てしまう事があるが、ゴリラを見たいとは全く思っていなかったので、ゴリラの登場は想いや幻覚ではなく、外界からの客観的な事実として起こったことなのだろう。
いずれにしても二頭のゴリラを前にして怖いという感じはしなかった。むしろ育った孫を愛でる祖父母のような、そういったなんとも言えない無償の愛のようなものを感じた。
でも相手ゴリラだしな〜。
神に祈りを捧げて何故かゴリラが登場してポンっと肩を叩かれたなんてお笑いでしかない。恥ずかしいから今あったことは墓場まで持っていこう。もしくは何もかもうまく行って先の心配が要らない時代がやってきたなら酒の肴としてネタのひとつにはなるだろうか。そんなことよりも今は食糧難と寒波の中生き延びることだ。墓場というかストリートの片隅に積み上がるその時は近い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます