第14話 仲間外れ友の会
極端に人が少なくなった全球凍結の冬の時代が明けたとき、人々が生き残った地はアフリカ大陸のエチオピアのあたりだった。
ミトコンドリア・イヴの息子たち、娘たちは世代を重ね、複数の共同体を作って暮らしていた。この物語は、そのいくつかある共同体の対局的な二つの何処の共同体で起こった事である。
いずれの共同体も、減りすぎた人口を回復するため、また農作業の負荷を分担するため産めよ増やせ地に満ちよとせっせと子作りに、励んでいたがある共同体では、女を中心に残し、男は間引いていた。出産の際女性は半年以上専念しなくてはならないが、男は次から次へと種付け出来てしまうからだ。種となる男は残すが、それ以外の男児は間引いて育児のコストを掛けるのも無駄だとばかりに捨てていた。女は女であるというだけで集落から生存を保証され、男はただ男であるという理由だけで捨てられていた。
端から見たとき、その集落は女ばかりの集落に一夫多妻制ハーレムに見え、男にとっての楽園のように見えたが、裏で男たちは極少数の限られたタネ男を除いて間引かれ、女たちが主導権を握る共同体だった。これは許せないという男の思いとは裏腹に非常に繁栄した。
女児を得ることが家を残せる絶対条件だったが、明示的に処刑まではしなかったが一切の世話に掛けるコストを無駄とし男児は育児放棄するのが当たり前で、それが古代女性社会の掟となった。また共同体において氏族が共通の父を持つことの決して語られない裏事情である。
そんなタネ男以外すべて奴隷か処刑となるのが当たり前だったとある集落のレアという女性が三人の男の子を産んだ。さっさと間引きせよ、山に捨ててこいとの世間からの圧力は熾烈を極めたが、可愛い我が子に、男児だというだけでそのような酷いことを出来なかった彼女は、こっそり子どもたちをイデ山の麓にある洞窟に隠し、人の目を盗んではイデ山の我が子のところに赴き、乳をやって世話をした。
他の女たちも、腹を痛めて産んだかわいい我が子にそんなひどいことは出来ないとこっそり後に続いた。そして姥捨山ならぬ赤児捨山に野郎ばかりの集落が出来た。集落と言っても、長年に渡る文明の蓄積がある女集落と異なり、男集落は人間の集落というよりは野獣の群れだった。
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