第13話 ミトコンドリア・イヴ

 はじまりの女神から数回の冬の時代を経て、人類史上最大の危機となる全球凍結スノーボール・アースが訪れた。


 寒すぎて水という水が全て凍結して、地表全面真っ白になる現象で、人類史が始まる前からしばしば訪れていたとされる。この際多くの人類が凍え死んだ。


 幸い破局噴火が相次ぎ、凍結地面をちょびちょび黒くした。凍結されてガスが抜けなかったことによる必然なのかもしれないが、冷える→凍結する→白くなる→太陽光を跳ね返して熱を取り込めない→放射冷却に歯止めが効かずさらに冷えるという正帰還は破局噴火によって逃れたが、生命活動の低下は防げず、海にも大地にも栄養が無いため魚も作物も育たず、生きていても食糧不足で死ぬか間引かれる事も多かった。


 そこを生き残った人類の一人がミトコンドリア・イヴと呼ばれ、現代地球人の母系の祖にして共通の母とされる。現代から約20万年前の事であった。


 当然の帰結として、ミトコンドリア・イヴにもまた母親は居たので母系は万世一系とも見えるが、その途中で姉妹が居たかもしれない。ミトコンドリア・イヴより前の姉妹の家系は途絶えたか、たまたま調べた五人以外に残っているのかは誰も調べてないからわからない。


 今わかることは、極端に人類の人口が落ちた時期があったということ、地域も人種もバラバラに任意抽出した五人の母方の祖先が約20万年前の一人の女性に行き着くことと24万年前に破局噴火が頻発していたということだ。


 ミトコンドリア・イヴを起点にしても現在の有史時代までには最低8回の冬の時代を越している。それぞれの周期ごとに高度文明が築かれて冬の時代を乗り越えることが出来なくて滅びたと考えることもできる。


ここでの物語は、どの周期での話かはわからない。パラレルワールドに見えるかもしれないが、人類史50回はあった2万年周期のどこかで実際に起きていたのかもしれない。歴史小説なのか異世界小説なのかは作者すら知らない。

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