第9話 リスク受容と転嫁
リスク管理には回避、軽減、転嫁と受容がある。転嫁は保険を掛けてそのリスクを他者に負担してもらうことだが、保険会社だってタダで受けるわけはなく、一定割合で発生するリスクとその発生確率をかけ合わせた期待値以上の掛け金を集めることで、大数の法則により自己が利益を得るように運営される。
回避も軽減も転嫁もいずれもコストが掛かる、最後のリスク管理が受容であり、起きたら起きたとき、その被害を受けるという方針である。個人の場合計画するのも自分、被害を受けるのも自分だが、組織、行政の場合は、決めるのは経営者や政治家、被害を受けるのは従業員や住民という構図に持ち込まれやすい。いや必ずそのようになる。
金銭的なのは、いったんは会社が払うだろうが、そのカネの源泉は従業員の労働力であり、空いた穴を補填するために従業員への還元率が低下する。言うなればタダで従業員にリスクを転嫁するのがリスク受容である。
そして経営者側としては、株主との板挟みになり、起こるか起こらないかわからないリスク対策に費用を支出することは立場的に出来ない。うまくいく事が多い内容にリスク対策費用を出すと、うまく行ったときにそのリスクへの出費分が背任行為扱いになるからだ。
いつからだろうか?東京という街が大雨や風や雪に向けた対策を怠るようになったのは?年に一度あるかないかの雪対策を計上するカネがあれば株主に持っていかれる。行政もキックバックしてくれる会社を通じて着服する。はじめから計上しなくなる。そして一度雪が降れば一週間都市が麻痺する。
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