第7話 破壊は易く育てるのは難い

 システムや体系というものは複数の要素とそれらを接続するネットワークが相互に作用し一つの全体を構成し、その接続のひとつでも切断されれば、また構成要素のひとつでも破損すれば全体が機能しなくなる。

 システムを構築したり運用して育てていくには全体が正常に機能するように注意を要し、システムを破壊するにはハサミひとつあれば事足りる。

 当然それでは困る訳で単一障害点となりうる場所を多重化して全体停止にならないように作るという建前ではある。しかし完全な停止状態にしにくくはなっても、逆に完全な状態でなくす事は多重化されてないシステムよりも容易い。システム全体が二重化されていると壊れていても気が付かない。

 一瞬でも途切れたらいけないから丹精込めて二重化設計にして動きながら修理ができるようにしてあるのに、いつの間にか予算を守銭奴に握られ、システムの随所が片肺飛行になっているのに「壊れていないものを修理するな」と修理の出費をケチる。ケチって捻出したカネはそいつの地位を外から保証してくれる取引先の予算決定権のある人間、株主、当局の担当への接待に使われる。

 そしてそのツケはいつか破局という形で訪れる。そのいつかが自分が担当しているときでないことを祈りながら、やるべきことをおろそかにしている。そもそも自覚症状があればまだいいほうで、もはやどこをケチって大事なものを失っているかすら気付いてない。気づいた人も指摘すれば疎外されるのは自分なので気付かないふりをして放置に加担する。

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