アルバイトと隙間風

 文化祭が終わると、駆け足で冬がやってくる。

(((小遣いが…足りない。)))

 お昼の食事時、いつになく深刻な顔でお弁当を食べている三人組。


 文化祭の演し物を頑張った三人を含む生徒全般…『美人コンテスト』に奮発し過ぎた結果、優勝は『生徒会』に持っていかれ、報奨もチャラとなり…金欠気味になってしまったのだ。


 そしてがやって来る。

 リア充を求める若者たちが、親愛度を深めるイベントてんこ盛りの『お祭り』が…。

 さて、イベントを行うためには先立つ物ぐんしきんが必要になってくる。

 イベントの締めは


「「「はぁ~、どうしよ~…。」」」

 心の声が漏れる三人でした。


「とりあえず、アルバイトしなくっちゃね。」

 マキの一言に、何故か満場一致のミキとミツオ。


「オレ、かぁ~ちゃんに聞いてみるよ。」

 ミツオが話せば

「私たちも相談できるかなぁ?」

 ミキが質問を返す。

「聞いてみるよっ!」

「「お願ぁ~い!」」

 ミツオの返答に、すがるマキとミキでした。


 ◇ ◇ ◇


「じゃぁ~、一つヨロシクッ!」

 ケーキショップの女性店長オーナーが、マキとミキに声をかける。

「「よ…よろしくお願いします!」」

 ミニスカートのメイドスタイルで戸惑い気味のマキとミキ。


 彼女たちのバイト先は、この辺りでも人気のケーキショップ。

 バイトの応募も多い中、何故か潜り込めてしまったマキとミキ。

 まぁ、彼女たちのメイドスタイルを見れば頷けるというもの…である。


 二週間もすれば、仕事のコツを掴んだのだろう。

「「いらっしゃいませぇ~!」」

 マキとミキの明るい声に、戸外の寒さも何処へやら…ケーキショップ内は春爛漫である。


 んで、ミツオ君はといえば…。

「じゃぁ~、一つヨロシクッ!」

「お…押忍っ!」

 ニッカポッカの土方どかたスタイルの親方とミツオ君。

 早速、現場入りする二人…照明が眩しく照らし出す、ここは二車線国道バイパスの片側を閉鎖した現場。

 陽気なおじさん方に囲まれ、ミツオもツルハシを振り回している。


 こちらも直ぐに仕事に慣れてしまったようで…。

「よぉ~、アンちゃん!

 こっちの方も頼むわぁ~!」

「へぇ~~い!」

 親方に可愛がられ、すっかり男らしい身体に磨きのかかるミツオ君である。


 そして、学校での生活はそのままに、すれ違い始める…ミツオとマキ・ミキの時間。


 ◇ ◇ ◇


 ~昼食時~

「あれ、マミィ~…安達君はどうしたの?」

 二人が席に向かい合って楽しそうにお弁当を食べている姿を見て、女子生徒クラスメイトが質問してくる。

 …そう、彼女たちはミツオとのハズなのである。


「あっ…。」

 質問してきた女子生徒クラスメイトが見つけたものは…。

 机に突っ伏しているミツオの姿。

「バイト疲れねぇ…。」

 マキが肩を落とせば

「もう、すぐ無理するんだから。」

 ミキが優しくミツオの頭を撫でる。


 ~放課後~

 マキとミキがテニスコートから校門へ走っていく。

 いつもなら、校門口に立っているミツオがそこに居ない。


「はて?

 二人の供回りナイトはお休みなのかしら?」

 ガラス越しに扇子を口元へあて、小首を傾げるミユキ。


「会長、今日の仕事は終わりです。

 帰宅頂いても…。」

 副会長が耳打ちすると…

「ありがと!」

 返事も程々に、生徒会室を飛び出していくミユキ。

「あれは…重症ねぇ。」

 肩をすくめる副会長の視線の先、窓越しに映るのは、マキとミキの肩に手を回し、にこやかに語りかけているミユキの姿。

同性愛者レズビアン…。」

 副会長はカーテンをそっと閉めた。


「「会長に送って頂くなんて…。」」

 恐縮するマキとミキ

「いいのよ。

 今日は貴女達の供回りナイトもお休みのようだから…。」

 ミユキはニコニコ顔…である。


 ~同じ頃の土方現場~

「この現場も今日が最後だッ!

 みんな気合入れろぉっっ!!」

「おぉ~~っ!!」

 親方の激にミツオをはじめ、現場労働者も呼応する!

 今日も。元気で楽しい現場作業が幕を開ける…。


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【次回予告】

 みなさん、お元気でした?ミユキよ。

 騎士たるもの、姫君の身辺警護を疎かにしてはいけないわよ!

 ねぇ、ミツオ君。


 さて、次回は『ミキの里帰り』

 あらあら、ミキちゃん。

 親孝行しないといけないわよ♪

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