高みへ!

「お姉~様ぁ!」

「任せなさいっ!」

 息のあったコンビネーションでボールを返す、金髪縦ロールと黒髪ショートのペア。


 対するは…


「ミキぃ~!」

「任せてぇっ!」

 突き刺さりそうな高速ブレイクをダイレクトボレーで弾き返すミキ。

 鋭いボールは、逆サイドのライン上…ダウン・ザ・ライン!

 線審ラインアンパイアのサインは『IN』!


 弾ける笑顔でハイタッチを交わすマキとミキ。


 コンビの対戦相手は、お互いシングルスでボロ負けさせられた

 そして、このダイレクトボレーがこの試合初めての…そう、二人が初めてからもぎ取ったブレイクだった。


 試合は既に4ゲーム目のマッチポイント。

 ゲームも3-0で迎え、40-0フォーティラブと一方的に押されまくっている中での渾身の一撃。

 本日最高の見せ場に場内の歓声も最高潮!


 …だったのだが。

 ミキがサーブを打つ直前、突然うずくまってしまう。

「ミキ、どうしたの?」

「あ…足が…。」

 足首を押さえ、泣き顔のミキ。

 マキも戸惑っていると、主審チェアアンパイアが近づいてきます。


「大丈夫かい?」

 主審の問いかけに、ミキは立ち上がろうとするが、中腰になったところで、踞ってしまう。

 一呼吸置いて、主審に応えるマキ。

「パートナー負傷の為、試合を棄権…。」


「待ちなさいっ!」

 そこへ割って入って来るのは、金髪縦ロールの令嬢。

「この試合は、無効とします!」

 金髪縦ロールの令嬢の言葉に、会場の全員が固まる。


「お…おいおい、君!

 何を言っているんだ…。」

 主審が慌てる…が


「そもそも、一日でシングルス、ダブルスの混成試合を行うことが間違いなんです!」

 そう宣言し、金髪縦ロールをさらっと指で流す令嬢。

「しかし、この試合は君たちが一方的に優位だったはず…

 なぜ、無効試合に?」

 主審の質問に答えること無く、金髪縦ロールの令嬢はマキとミキの傍に来る。


「お二人とも、素晴らしいコンビネーションです。

 個々人の力は、まだまだ粗削りで、鍛錬が必要です。

 が、お二人のパートナーとしての実力は侮れません。」

 金髪縦ロールの令嬢はマキの手を取る。


「また、この舞台で会いましょう。

 テニスコートの頂点で!」

 金髪縦ロールの令嬢に抱き起こされ、涙を流すマキ。

 ミキは黒髪ショートの女子生徒の肩を借りて立ち上がっている。


「もう一度宣言します。

 この試合は無効とします!」

 金髪縦ロールの令嬢に気圧され会場は一瞬の静寂に包まれる。


 …やがて、観衆の間から拍手が起こり、さざ波が寄せるように拍手が喝采に変わっていく。

 金髪縦ロールの令嬢は再び、マキの顔に視線を向ける。

「また、まみえましょう。

 江藤 真希さん。

 そして…。」

 ミキへ視線を移す金髪縦ロールの令嬢

「藤本 美樹さん。」


「「はいっ!」」

 マキとミキは答え、こうべを垂れた。


 盛り上がる会場を見届け

「麗香さん、借りがイチですね。」

 扇子を口元に当て、ニコニコしながら競技会場から立ち去るミユキ。


「よかったねぇ~、二人共ぉ~~。」

 ミツオ君…目元にハンカチをあて、こちらは嬉し泣き。


 会場は、麗香さんのに今しばらくは盛り上がるのだった。


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【次回予告】

 ミキです。

 何だか、私っていっつも空回りばかり…。

 でも、今回は頑張ったわよ!

 ミッ君、私を見てぇ!

 もっと褒めてぇ!


 さて次回は『文化祭の華』

 フフフ、ミッ君…なかなか似合ってるわよ!

 その化粧w

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