テニスの応援
「セイッ!」
「ハァッ!」
テニスコートで繰り広げられる激しいサーブの嵐。
現在、シングルスの準決勝が開催されており、テニスコートではマキが上級生相手に奮戦している。
相手は県内屈指の
長身から打ち下ろされるサーブはブレイクが難しい上に、ダウン・ザ・ラインなど精度も抜群。
何とかレシーブするものの、結局マキは手も足も出せないままに準決勝敗退となる。
「マキ…お疲れさま。」
俯き元気のなくなっていたマキに、そっとタオルを手渡すミキ。
タオルを受け取り顔を拭きながら震えるマキ、ミキはマキを抱きしめた。
本来、インターハイは夏を前に行われる…が、テニスだけは秋にずれ込んでしまった。
その原因にマキが絡んでいる。
彼女は被害者でしか無いのだが、事件に絡んできた
マキの能力に不満を持ったテニス部の諸先輩、彼女らが他校のテニス部仲間の仲介を通して、マキに障害を負わせる、というのが事件の全容だった。
困ったことには、マキに障害を負わせる実動部隊に対し、買春を行っていた女子生徒たち。
実動部隊は世間様を騒がせていた半グレ団体だった。
最後の決め手は、マキを散々犯した上で、結果殺害までオーダーしていた事実が表に出てしまい、学校ばかりか教育委員会まで槍玉に上がる始末。
事態を重く見た教育委員会サイドはインターハイのテニス部門の開催を中止した経緯がある。
結局、多数の退学者と少年院送致、実動部隊の逮捕で一応の整理が終わったということで、今回の『テニス大会』となったのである。
故にマキは『テニス大会』への出場を躊躇していたのだが…。
「なぁ~にぃ~?
マキちゃんは逃げるのぉ~?
じゃぁ~、テニス大会優勝して、ミッ君を奪っちゃうね!」
ミキの挑発に釣られ、自己の不甲斐なさを跳ね除けるためにも必死で頑張ってきた。
…その力が及ばず、マキはタオルに顔を埋め泣いていた。
そんなマキの事情を知っているからこそ、ミキはマキを抱きしめたのである。
しばらくするとタオルから顔をあげるマキ。
「ふん!
予選落ちに慰められたくないわ!」
毒づいてみせるマキだったが、二人顔を見合わせ笑顔になる。
観客席で観戦するミツオとミユキ。
「マキちゃんは、大丈夫そうね…。
ミキちゃんも、大人になったわね。」
ミツオもミユキも、そろって笑顔。
周りの生徒たちも『尊い』と、ため息が漏れている。
ちょうどタイミングよく昼休憩のチャイムが鳴り
『これにて、午前中のプログラムを終了します。
午後のスタートは…。』
会場にアナウンスが流れると、三々五々昼食を取りに席を外していく
「さぁ、私たちもお昼にしましょう。」
席を立ち、コートへ移動を始めるミユキ。
「はいっ!」
重箱を抱え、ミユキの後に従うミツオ。
◇ ◇ ◇
開かれた重箱を覗き込むミキとマキ。
箱の中身はサンドウィッチ!
「「いっただきまぁ~~~すぅ!」」
何の躊躇もなく手を突っ込むミキとマキ。
ミユキは扇子を口にあてニコニコしている。
ミツオもちゃっかりサンドウィッチのご相伴に与っている。
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【次回予告】
マキよ!
最近、生徒会長さんがやたらと絡んでくるんだけど…。
何だか怪しいわねぇ。
ミツオ君もはぐらかしているし…。
さて次回は『高みへ!』
ミキ!
生徒会長を引き離すためにも、ここで頂点を極めるわよ!
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