後藤田生徒会長!

 朝の校門前に立つ三人の女子生徒と人間看板サンドイッチマンの男子生徒

「次期生徒会長には、後藤田 美由紀をよろしくお願いします。」

 マキが声を張り上げれば

「後藤田 美由紀に、後藤田 美由紀に清き一票をお願いします。」

 ミキも声を張り上げる

 にこやかな笑顔で頭を下げている後藤田先輩に、候補者広報を配っているミツオ君。


 生徒会長選挙の初日、四人は活動を開始した。


 ~喫茶店「DAWAN」~

 話は遡ること、一週間前の週末。

 ここはミツオ宅の近所にある喫茶店。


 喫茶店の窓際に有るボックス席、奥側に座っているのは、後藤田候補。

 手前側には、頭に二つのタンコブを頂いたミツオを真ん中に向かって右側にはマキ、左側にはミキが座っている。

「お集まり頂き、感謝します。

 改めて自己紹介させて頂きます。

 生徒会長選挙に立候補しました、後藤田 美由紀と申します。」

 席から立ち上がり、深々と頭を下げるミユキさん。

 向かい側の三人も慌てて立ち上がり会釈をする。


 挨拶も一段落し、着席する一同。

 タイミングを謀ったかのように人数分のハーブティーが彼らの手元に届けられる。


「それでは、応援についての説明を…」

「ちょっと、待ってください!」

 応援計画の説明に入ろうとしたミユキを遮るマキ。

「どうかしましたか、マキさん?」

「今回の応援メンバーの人選を説明していただけませんか?」

 交錯するマキとミユキの視線、ミキとミツオは成り行きを静観し始める。

「そうですね…、分かりました。

 これは、私の選挙公約にも関わる話なので、しっかり聴いて下さいね。」

 ミユキはハーブティーを一口拭くんだ。


わたくし恋愛とは、もっと自由で多様であっていいと思うの。

 勿論、度を超えた行動、例えばなし崩しの逢瀬や、行き当たりばったりの性交渉は厳に取り締まるべきです。

 でも、ヒトに恋すること、愛を語り育むことはとても大切な事だと思うの、」

 ミユキが語れば

「それは同意します。」

 マキは頷き、ミツオとミキも同意を示す。

「ありがとう。

 そして、、お互いを慈しみ、歩み続けたいと思う生徒たちを応援したいのよ。」

「同性・異性を問わずぅ?」

 マキが疑問符をうち、ミツオとミキも首を傾げる。

「ええ、ね♪」

 そう言ってミユキはハーブティーを一口拭くむ。

 暫しの沈黙。


「すいませんが、その話と私たちの関わりにどの様な関係が?」

 マキの質問に、ミユキは満面の笑みになる。

の仲は有名よ…という言葉とともにね。」

「「…」」

 思わず頬を赤らめてしまうマキとミキ。


 確かに二人は不思議なくらいに仲が良い。

 女子生徒友たち仲間からは、マキとミキを呼ぶ際に、彼女二人を纏めて「」と呼んでいるのだ。

「「なぁ~にぃ~?」」

 困ったことには、双子のように同じ反応を示すマキとミキ。

 ミツオを巡る恋の鞘当てでライバル関係にあるはずの二人が和気あいあいとテニスで切磋琢磨する…。

「尊い」

 誰とはなく、二人の存在をそう唱える女子生徒たちが増えていたのだ。


恋敵ライバルであり好敵手ライバル…でも、最良の相方パートナーとして努力する二人の乙女。

 これを『尊い』と言わずして、何というのでしょう。

 あなた達こそ、私の求める理想を体現しているペアなのよ!」

 胸の前に手を組み、キラキラおメメになるミユキと、シラケ顔のマキ…ああ、ミキちゃんの顔も引きつってますねぇ。


 背中に花を背負しょった満面笑みの乙女が一人、向かい側にはドンヨリとしたオーラに包まれるカップル+1が座っている。


 ◇ ◇ ◇


 後日談…

 並居る強豪を押し倒し、後藤田 美由紀は晴れて生徒会長に就任した。


 喫茶店「DAWAN」のボックス席に集まった生徒会長と、その応援団(ミツオ&ミキ、マキ)が座っている。

「みなさん、応援ありがとうございました。」

 深々と頭を下げるミユキさん。

 三人も揃って会釈をする。


 お祝いのケーキセットが出揃った頃…

「ところで、ミツオくんとの関係については、まだ聞いてませんけど…。」

 マキがミユキに詰問する。

「部活の先輩じゃ説明不足かしら?」

 ミユキが笑ってみせると、ミキとマキが苦笑いをしてミツオに視線を向ける。

「…まぁ、そういう事です。」

 ミツオは俯いた。


「その時が来れば、お話しましょう。」

 ミユキはそう言って微笑むのだった。


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【次回予告】

 改めまして、の後藤田 美由紀です。

 みんな、応援ありがとうございました。

 今後とも、ご贔屓ひいきのほど、よろしくお願いしますわ。


 さて次回は『テニスの応援』

 ミキちゃんもマキちゃんも頑張って欲しいですわね。

 二人共、ファイトッ!ですよ。

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