お引越し
「っぷはぁ~。
やっぱ、帰宅後のビールはサイコ~~♪」
「肴の準備、もう少し待ってて下さいね。」
帰宅するなりカバンを放り投げ台所へ…冷蔵庫へダッシュしたかぁちゃん。
ビールを引っ張り出すと食台に座り一人宴会を始める。
エリさんは苦笑しながら台所に入ってきた。
「マキ、ミキ…料理の準備を手伝って!」
エリさんは備え付けのエプロンに手をかける。
「「はぁ~い。」」
マキとミキはカバンを応接間に置きに向かおうとする…
「マキちゃん、ミキぃ。
あんたらも制服汚すとダメだから、あたしの部屋にあるトレーナーに着替えといでぇ。」
ビール缶を振りながら笑顔のかぁちゃん。
「「はぁ~い。」」
素直にかぁちゃんの部屋へ向かうマキとミキ。
「シャワーも浴びるんだよぉ。」
「「はぁ~い。」」
二人の姿が消える…
「素直でいい子たちだねぇ。」
ご機嫌顔のかぁちゃんがエリさんを見る。
「ええ、出来の良い娘たちで大助かりですよ…。」
エプロンで手を拭きながら笑顔で振り返るエリさん。
「…で、あたしの愚息はいつ帰ってくる…。」
かぁちゃんがビールを一口含む頃…。
「ただいまぁ!!」
玄関口から元気な男子の声!
ようやく愚息の登場です。
「お帰りなさ~い。」
エプロン姿のエリさんが玄関に迎えに行った。
◇ ◇ ◇
「エリちゃんありがとね。」
いい具合に出来上がっているかぁちゃんを中心にエリさんとマキにミキ…そしてオレが一つの食卓を囲んでいる。
「おかずもたくさん作ってるから、しっかり食べてね。」
「「「は~~い!」」」
お腹をすかせた高校生は、食事に対して実に素直だ。
「で…今日集まってもらったのは…。」
かぁちゃんが話し始める。
エリさんは事情を知っているようで、ニコニコしている。
「単刀直入に言うわよ。」
かぁちゃんが、キリッと顔を引き締める。
「ミキ、あんたには近々引越してもらう。
引越し先はマキちゃん
「「へっ?」」
お揃いのグレーのトレーナーを着たミキとマキが固まる。
「実はね…。」
エリさんが話に合流してくる。
先週開催された保護者会の席上で、マキに降り掛かった障害未遂事件の話が遡上に乗ったそうで…。
「キョウコさんが、PTAの面々を相手に大立ち回りでみんなを黙らせたのよねぇ♪」
胸の前で手を組み、目がキラキラのエリさんと、大きく頷いているかぁちゃん。
「それでぇ~、女の子の単身世帯は認められない…となったわけよ。」
どうやらPTA会長ともやり合ったかぁちゃんだったが、ミキのことについては、PTA会長と意気投合した…らしい。
「ということで、キョウコさんのところでミキちゃんを預かると、ミツオ君に襲われる可能性があるというわけで、うちに引き取ることになったのよ♪」
エリさんがウィンクすれば、少々残念顔のミキちゃん。
「でだ、ミキの親御さんには早速私から連絡して了承は取っている。」
かぁちゃんのヴィクトリーサインが妙にマブシイ。
「あとは、我が家が2DKと手狭なので、こちらも引越になるの…。
…マキぃ~、聞いてる?」
エリさんの言葉にようやく頷くマキ。
「引越は、来週からボチボチ始めて、再来週には完了させる。
ついでにエリちゃんには転職してもらって、私の後釜に付いてもらう!
以上だ。」
そう言うと寝室に退くかぁちゃん。
夕飯もそろそろ終わり、身支度を始めるエリさんと
食器洗いを済ませたエリさんは、娘たちと外に出ると、かぁちゃんの軽自動車に三人が乗りこんだ。
「じゃぁ、失礼しますね。」
エリさんが運転席から頭を下げる。
「「おやすみなさ~い。」」
マキとミキも後席から手を振っている。
「引越の際は読んで下さい、応援に行きます!」
「期待してるわよ、ミ・ツ・オ・く・ん♡」
ミツオの提案を快諾するエリさんと、母親の発言に慌てる娘たち。
そして、賑やかな軽自動車は帰途についたのだった。
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【次回予告】
はじめましてぇ♡
こんな美女が母親なんだから、愚息もさぞや高校で鼻高々だろう。
さて次回は『ミキの部屋』
こら、ミツオ!
お前は行かなくて良いんだよ!
っとに、このエロガッパは!
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