お料理について
「ただいまぁ〜」
マキが玄関のドアを開ける。
「「こんばんは、お邪魔しま〜す。」」
マキに手招きされ、ミキとミツオが玄関に入ると、奥からパタパタと音をたてながら女性がやって来る。
「お帰りなさ〜い!
って、お友達さんも一緒?」
立ち止まる女性。
「あら、可愛いお客様!
初めまして、マキの母の
笑顔が可愛く、マキと並ぶと姉妹に見えてしまう程に若い女性が挨拶をした。
「は…は…ハジメマシテ…
ふ…藤本 美樹です。」
吃りながら答えるミキに失笑するマキとミツオ。
二言三言言葉を交わし、玄関を上るミキとマキ。
「じゃあ、オレはここで。
ミキ、帰る時は電話してね。
迎えに来るから…。」
そう言葉を残してミツオは玄関を閉めた。
残念そうなミキとマキ。
「さ、奥に入りましょ!」
そう言って、二人の腕を掴み歩き出すエリ。
◇ ◇ ◇
「さてと、何のお料理をしたいのかしら?」
マキとミキはトレーナー姿にエプロン。
エリは私服にレースのエプロン姿。
「「え~~っとね…
ミツオくんが喜びそうな…オカズとゴハン…」」
モジモジするミキとマキに吹き出してしまうエリ。
笑うエリにヤキモキしている二人。
「じゃあ、チキン南蛮の唐揚げ風味に味替えしてみましょう。」
「「はいっ!」」
エリの言葉に目を輝かせるミキとマキ。
「しっかり好きな人の胃袋を掴むのよ!」
「「はいっ!」」
エリのカマかけに気付かず、大声で返事をした後、我に返ると赤面してしまうミキとマキ。
その
「さ、始めるわよ。」
「「はぁ~~い!」」
エリの指示に従って準備の手伝いを始めるミキとマキ。
「それじゃ、唐揚げから…
マキ、鶏唐揚げの準備お願い!」
マキの方に視線を送るエリ
「お母さん、衣はどうする?」
「そうね、サクッとした食感を楽しみたいから、片栗粉を使いましょ。」
「は~い。」
エリの指示に従って唐揚げの準備を始めるマキ。
「こっちは、アンカケ用の甘酢あんとタルタルソースを準備しましょう。」
「はぁ~い!」
エリの言葉にワクワクしているミキ。
「まずは、甘酢あんから。」
エリは鍋を取り出すと、酢に砂糖、しょうゆに水、そして片栗粉を目分量で鍋に入れていく。
弱火に鍋をかけると
「ミキちゃん、トロミがでるまで混ぜてね。」
「は~い。」
鍋の前に立ち、
ミキの隣で卵を湯がき始めるエリ。
「ミキちゃん、こっちも様子を見ててね。」
「はぁ~い!」
ミキにゆで卵も頼んだエリ。
「それじゃぁ…。」
エリは手早く玉ねぎとセロリを冷蔵庫から取り出すとみじん切りにしてボウルへ。
「おばさぁ~ん、甘酢あん出来たよぉ~。」
「じゃあ、火を止めて。
隣の器に中身を入れてね。」
「はぁ~い。」
エリの指示でミキは甘酢あんを鍋の隣に準備してあるビンに注ぎ込んでいる。
さて、玉子が茹で上がる頃、マキが声を上げる。
「お母ぁさぁ~~ん、唐揚げ出来たよぉ~。」
「お皿に盛っておいてぇ~。」
「はぁ~~い!」
唐揚げを皿に盛るマキ。
「ミキちゃん、こっちの手伝いをお願い!」
「はぁ~い!」
ミキは茹で上がった玉子を持ってエリのところへやって来る。
タイミングをを合わせるようにマキも唐揚げを持ってエリのところに戻ってくる。
「それじゃぁ、三人で玉子の殻を向いてタルタルソースを完成させましょう!」
「「お~!」」
エリの掛け声に答えるミキとマキ。
殻の取れた玉子を刻んだ野菜の入っているボウルへ!
更にマヨネーズを混ぜ合わせれば…
「はいっ!
タルタルソースの出来上がり!」
三人はハイタッチを交わし、喜びを爆発させている。
と…
不意にミキの目から涙がこぼれ、やがて破顔する。
「お…かぁ…さ…ん…
お…かぁ…さ…ん…
お…かぁ…さ…ん…
お…かぁ…」
慌ててエリがミキを抱き寄せると、声を出して泣きじゃくるミキ。
「どうしたのかしら?」
突然の出来事に戸惑うマキ
「そうね…。
今はそっとしておきましょう。」
優しい眼差しでミキの頭を撫でるエリ。
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【次回予告】
はじめまして、
うふふ、何だか娘が急に増えた感じでうれしいんだけど…
さて次回は『消したい過去』よ。
あらあら、ミキちゃんもマキちゃんも赤裸々に語り合っちゃって♪
お母さん…嬉しい!
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