お弁当対決
「ミツオ君、あのね…。」
お昼休みを告げるチャイムが鳴ったところで、マキはオズオズと弁当袋をミツオの前に差し出す。
「私、お弁当作ってきたの、二人分。
良かったら一緒に…。」
ズイッと差し出される弁当袋に戸惑っているミツオ。
「何やってるのミッ君!
食べないとダメよ!」
ミツオの背を叩き、踏み出すことを促すミキ。
そして、席を立とうとするミキを捕まえるマキ。
「ミキの分もあるの!」
ミキの顔にも別の弁当袋が差し出される。
「ミッ君…ご相伴に預かり…ましょ。」
「そ、そうだねぇ。」
ミツオとミキが納得顔になるとマキはニコニコ顔になる。
机の上に広げられるお弁当たち。
「わぁ~、美味しそ~。」
ミキが黄色い声を張り上げる。
ミツオ君、言葉もなくお弁当の中身に食い入っています。
わかめご飯のおにぎりにタコさんウインナー、玉子焼きにブロッコリーとカリフラワーのサラダ、別の小箱には唐揚げとミニトマト。
その彩りに食欲を
「召し上がれ♪」
マキが手を差し伸べると
「「いただきまぁ~~~~すぅ~~。」」
言うが早いか、お弁当を食べ始めるミキとミツオ。
二人の様子を嬉しそうに見ながら自分もお弁当を食べ始めるマキ。
教室内では、同じように銘々のお弁当を開き談笑するクラスメートたち。
その雰囲気に溶け込んだ三人は、穏やかな時間を過ごしていく。
~翌日~
「二人とも、あのね…。」
お昼休みを告げるチャイムが鳴ったところで、ミキはオズオズと弁当袋をミツオとマキの前に差し出す。
「私、お弁当作ってきたの、三人分。
良かったら一緒に…。」
ズイッと差し出される弁当袋。
「まぁ、楽しみ!
ね、ミツオ君♪」
マキは満面の笑みでミツオを見る。
ミツオ君、引きつり気味の笑顔。
お弁当の蓋を開くミキ。
中身が
「さぁ~、どうぞぉ~!」
ミキの掛け声に合わせ二人は答える。
「「いた…だき…ま…す…。」」
フライドポテトに唐揚げ、ハンバーグにメンチカツ、エビフライに白身フライ…と、茶色い世界が広がっている。
ライスに至っては、ソース仕立てのチキンライス…。
ポテサラに混ざったベジタブルミックスがかろうじて彩りを添えていた。
「美味しいでしょ?」
ミキがワクワクしながら聞いてくる。
「「ええ、まぁ…。」」
反応の鈍いマキとミツオ。
「ぷぅ~~~。」
膨れっ面になってお弁当を頬張るミキ。
「…油臭い…。」
ミキも残念な顔になる。
~その日の放課後~
テニス部も無事終わり、帰宅準備に入るマキとミキ。
二人がテニスウェアに手をかけたところで
「ねぇ、ミキぃ~。」
「ん、何ぃ~マキ。」
テニスウェアを脱いで、制服のブラウスに手を通すマキとミキ。
「この後時間有る?」
「大丈夫だよ…。」
スカートに足を通すマキとミキ。
「じゃぁ、この後、私の家でお料理対決しない?」
「受けて立つわよ!」
部室を出て校門に向かうとミツオが待っている。
新学期が始まってからの三人の約束…。
「帰りましょうか?
お嬢様方。」
執事よろしく、右手を胸に一礼するミツオ。
ミキとマキは笑顔になってミツオのもとに駆け寄る。
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【次回予告】
マキです。
ふぅ~、ミキっていつもあんな食事をしてるのかしら?
あんな食生活してたら、きっと身体に良くないわ!
さて次回は『お料理について』
うふふ、これでミツオ君の胃袋も私が鷲掴み!。
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