テニス対決

「じゃ!行ってくるね、ミツオ君。」

 いつも通りの放課後になり、マキはカバンを持つと教室を出て行こうとする。


「まって、マキ!

 私も一緒に行きたいんだけど…。」

 ミキがモジモジしながらマキの方に視線を向ける。


「テニス部に!ってこと?」

 マキの問いにミキは小さく頷く


「ん…。」

 マキは天井を眺め思案しているが…。


「いいわよ!」

 そう言って、右手を差し出す。


「ありがとう!」

 マキの右手に右手で捕まるミキ。


「「じゃ!行ってくるね!」」

 そう言って、二人は教室を出て行った。


 ◇ ◇ ◇


「貴女を倒して、ミッ君にいいところ見せるんだから!」

「ええ、出来るのだったらどうぞ!」

 何故かテニスコート上に対峙しているミキとマキ。

 二人の淡いクリーム色のテニスウェアー姿が緑色のコートに映えてマブシイ!

 ミキはラケットをマキに向け、マキはラケットを手元でクルクル回している。


「えぇ~~とぉ~~、これはどういう事?」

 そして賞品となっているミツオはネットでグルグル巻きになって、コートの端に鎮座している。


 コート外周にはテニス部員の他にも多数の野次馬が押しかけている。


 …事の発端は、いつもの痴話喧嘩。

 しかし今回は事情が異なっている、そう使に発展しているのだ。


 サーブ権はミキに渡されている。

「いくわよぉ~~!!」

 ミキは大きくラケットを振り、サーブの構えに入る。


 オーバーヘッドにラケットを振りかぶるミキ

「せぇ~…」

 スカッ (空を舞うラケット)

「のぉ~!」

 ポトン…コロコロ (地面に落ちて転がるボール)


 慌ててボールを拾い上げるミキ

 マキをはじめ、テニス部員がポカ~ン顔となり顎が外れている。


「も、もう一回、いくわよぉ~~!!」

 再びミキは大きくラケットを振り、サーブの構えに入る。


 オーバーヘッドにラケットを振りかぶるミキ

「せぇ~…」

 スカッ (空を舞うラケット)

「のぉ~!」

 ポトン…コロコロ (地面に落ちて転がるボール)


 慌ててボールを拾い上げるミキ

 野次馬たちもポカ~ン顔となり顎が外れている。


 三度目の正直

「行きます!」

 アンダーサーブに構えるミキ

「せぇ~のぉ~!」

 ラケットにようやく当たったボールはフラフラと中央のネットまで飛んでいくと、ネットに命中!

 そしてボールは相手コートに落ちるが、コースアウトだった。


「どうよ!」

 ガッツポーズをするミキと眉間を押さえカブりを振るマキ。


「ミキぃ~…。」

 マキがミキを手招きする。

「何よぉ~。」

 マキに呼ばれてピョコピョコと走っていくミキ。

「「「おお~、萌えるぅ~」」」

 黒集くろだかりから漏れる桃色の声

「「「うざぁ~」」」

 黄色い声からは軒並み不評の声である。


 ミキの顔を睨んでしまうマキ

「ミキ…貴女、硬式テニスしたこと無いでしょ?」

 キョトンとするミキ

「え~~、あるよぉ~。

 失礼なぁ!」

 眉間を押さえるマキ

「ポジション教えてくれる?」

 ミキは笑顔で答える

「球拾い!」

 マキは眉間をさらに押さえ、テニス部員はじめ、野次馬陣が全員ズッこける。


 その所作に驚き、周りを見回しミキは叫ぶ

「失礼よっ!」


 マキはミキの両肩をガッチリ掴む

「あんた、テニスが出来るようになるまで、毎日ここに来なさい!」

「ええ~~…。」

 ミキがアカラサマに嫌そうな顔をするのだが…

「文句を言わない!

 い・い・わ・ね!」


「ぁぃ…。」

 消え入りそうな声で返事をするミキちゃんでした。


 美しい友情(?)に拍手を送り、どっと疲れた野次馬たちは去っていき、テニス部員も練習に戻っていった。


「さ、ミキ!行くわよ。」

 マキに促され、ミキはテニス部へ拉致られて行った。


「あ、あのぉ~。

 僕はどうなるんでしょう…。」

 ネットでグルグル巻きになって、コートの端に鎮座しているミツオ君は…放置された。


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【次回予告】

 ミキよ。

 まさか、私がマキに負けるなんて…

 くぅ~やぁ~しぃ~~~!

 絶対逆転するんだからぁ!


 さて次回は『お弁当対決』

 え、私の手料理?

 お、美味しいに決まってるじゃない!

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