第31話 女の子って不思議
その後、姉さんがお菓子とお茶を持ってきてくれた。
「それで、勉強はどう?」
「私は捗りました!」
「俺は……うん、多分平気」
「答えになってないわ。ごめんなさいね、この子、自分の部屋に女の子がいるから緊張してるのよ」
「ちょっ!?」
いや、合ってるけれども!
なにも本人を前にして言わなくてもよくない!?
これだから母親代わりの人は……恥ずい。
「そうなの?」
「いや、まあ……はい」
「私は平気だけど……勉強の邪魔になっちゃうかな?」
「そんなことはないよ。大丈夫、少し慣れてきたから」
「ほんと? ……えいっ!」
「うひゃ!? な、なにを……」
突然、腕を組まれてしまった。
相変わらずの破壊力です!
「いや、何となく……慣れたっていうから、それはそれで嫌です」
「ど、どういうこと?」
「ふふ、まだまだ女の子の扱いがわかってないわ。それじゃ、引き続きよろしくね」
「はいっ、お任せください」
そして、姉さんが部屋から出て行く。
……女の子って本当にわからないや。
ひとまず、目の前にあるお菓子に手を出す。
「いただきます……松浦さんも良かったら食べて」
「うん、ありがと〜いただきます」
「うん、美味い」
「勉強した後は、甘い物が良いよね」
二人でクッキーをぽりぽりし、紅茶を飲む。
そして、のんびりと食べ終えると……。
「ねえねえ、部屋の中を見ても良い?」
「えっ? ま、まあ、良いけど」
「大丈夫、クローゼットとかは開けないから。お兄ちゃんにも、そういうのはよく言われたし」
「はは……」
お兄さんグッジョブです!
いや、この場合はアキラさんか。
俺も年頃なので、見られると困るものくらいはあるので。
「ふーん、こういう本を読むんだ。そういえば、いつか見せてって話をしたよね?」
「覚えてたんだ」
「もちろんだよ。どれか読んでみようかな……あっ、これは見たことある」
「アキラさん……お兄さんのは読まなかったの?」
「お兄ちゃんは、全部電子の人だったから」
「あぁー、そっか。アキラさん、大人だしね」
俺たち高校生はクレジットカードとか持てないし、どうしても現物になってしまう。
ネットの支払いとか面倒だから、早くカードとか欲しいや。
「でも、そんなお兄ちゃんでも——ここにはあった!」
「へっ?」
「あれー? おかしいなぁ……お兄ちゃんも。ベットの下には隠してあったのに」
「あ、あの……松浦さん?」
「えへへ、ごめんなさい」
「そうじゃなくて、足が丸見えなんだけど……」
俺に背を向けて屈んだから……ワンピースの下にある生足が丸見えである。
幸い、パンツまでは見えてないけど。
「ふえっ!? み、見た!?」
「な、中身は見えてません!」
「むぅ……ほんと?」
「ほんとです!」
「……無罪とします」
ほっ、どうやら許されたらしい。
にしても綺麗な太ももだったなぁ。
「あっ、いやらしい顔してる」
「えっ、いや、それは……すみません」
「ううん、私が悪いんだし、すぐに言ってくれたから。それに、吉野君なら……」
「俺なら?」
「何でもない。ほら、勉強を再開しよっ」
「わ、わかりました」
俺は脳内の映像を振り払い、どうにか勉強に集中する。
よくわからないが、何故か逆に捗ってしまった。
……興奮しすぎて一周したのかもしれない。
◇
その後、教え合いをしつつ勉強していると、少し冷たい風が入ってくる。
気がつくと四時半になり、少しずつ日が暮れ始めていた。
「あっ、もうこんな時間」
「結構、集中できたね」
「うん、予定よりは進んだかも。吉野君、英語わかりやすかったし。単語の意味がわからくても、前後の流れを見れば推測できるとか」
「それなら良かった」
俺が教えたのは、長文の読み方だ。
単語単語ではなく、物語全体として長文を読み解く。
そうすると、意味のわからない単語も意味が見えてくる。
「私、謎解きとかパズルとか苦手で」
「でも、数学とかは得意だよね?」
「ああいうのとは、また別な気がしない?」
「……そういうものかな。俺は割と得意だけど」
すると、松浦さんが手を叩く。
「そう! それを忘れてた〜!」
「ん? 何かあった?」
「ねえ、もう勉強はいいよね? 私、吉野君とゲームしたい!」
「俺はいいけど、時間は平気?」
「うん、今日は親は外食するって言ってたから」
「それじゃ、そうしよっか」
俺は勉強道具を片しながら、何のゲームをするか考えるのだった。
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