第13話 動物年齢?人間年齢?
「ケーキ、誕生日じゃないのに買わないぞ」
だから、はっきりと言ってやった。
チワはかなり落ち込んだけど、買えないものは買えないとはっきり言うのも優しさだ。
「また機会があったら買ってやるから、今日のところは行くぞ」
少し強めに声を掛けると、ミケは立ち上がり、食料品売り場に向け足を進める俺達についてきた。
その様子を見ながらラビがまたしても質問をする。
「ねぇねぇ、たんじょうびってなに?」
それを聞いて、それも知らないのかと驚いた。
「生まれた日のことだけど……知らないのか?」
俺がそう言うとチワとラビは頷いた。
よく考えたらそうだよな、人間は誕生日祝うけど、動物にはその習慣ないだろうし……。
「ってことは……自分の年齢もわかんないよな?」
「ねんれい……?」
やっぱりそうだ、ピンときてない。
そもそも一年をどう計算するかもわかんないよな……どう説明したものか……。
1年は12ヶ月あって……って説明は難しいな、生まれてから季節が何回巡ったかって感じのがわかりやすいか?
「暖かい時期と寒い時期があるだろ? それが生まれてから何回繰り返されたかって感じかな、……もしくは、季節の花とかあるからその花を何回見たとか」
こんな説明でわかるか……?
ちょっと不安だったが、チワはピンときたようで、手をポンと打つと質問に答えてた。
「そういうことでしたら、木にピンクの花が咲くのを、暖かい時期に八回ほど見ました」
ピンクの花……暖かい時期ってことは桜か。
ってことは少なくともチワは八年は生きてることになるのか。
確かに人間のチワの見た目は八歳くらいに見えるが……。
「犬の八歳なら、人間の年齢で換算するともう少し歳いってるだろ、ってことは動物年齢では反映されないのか……」
「そういうこと言うのはデリカシーがありませんよ」
チワはジトっとした目で俺の方を見た。
犬でもそう言うの気にするんだな、今後発言には気をつけよう。
なんて一人で納得していたらラビが、ぴょんぴょんしながら自己主張を始めた。
「ラビね、さむくなるとでてくる、あったかいつくえすき!」
「あったかい机?」
あったかい机……こたつのことか?
「さむくなくなると、バイバイするの!よんかい、バイバイした」
バイバイは片付けたってことか……間違いないこたつだ。
寒くなると定期的に片付ける机なんてこたつしかないからな。
ってことは、四年は生きてるってことか……確かに見た目もそのくらいに見える。
「ってことは、ミケは……見た目的には五歳か六歳くらいか?」
「……多分ね、ケーキ六回食べたし」
「ケーキ? 猫なのにケーキ食えんの?」
「猫用のがあんの、そんなことも知らないの?」
めちゃくちゃ馬鹿にしたように鼻で笑われてムカついた。
でも、そういえば動画で見たことあるな、猫用のケーキ。
まぁ動物用の洋服があるくらいだからなんでもあるか。
「じゃあハルは……聞いてもわかんないか」
本人に確認したいけど、一歳前後じゃ多分季節の繰り返しとか分かんないよな……。
ハルだけは拾ったんじゃなくて、ペットショップで姉さんが買ったんだよな。
小動物なら、ペット禁止でも大丈夫だと思って、俺がくる少し前に。
半年以上は生きてるはずだけど……一歳くらいか?
にしては足取りしっかりしてるし、喋る言葉も多いんだよな。
ハルの年齢についていろいろ考えている間に、食品売り場についたらしい。
「おいしそう! たべていい?」
ラビは野菜売り場を見つけるなり駆け出して、人参を手に取ると大口を開ける。
このやばい状況を放っておけず、俺は大急ぎで駆け寄りラビから人参を奪う。
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