第6話 現状打破をするための留守番
とはいえ、こいつらが人間の間はこういうトラブルが続くのか……動物になった時より動くから、これから結構しんどくなりそうだし。
「無理だろうがなんだろうがやるしかないな……それも早めに」
このままだと、動物たちに家の中メチャクチャにされても文句は言えなさそうだ。
「よし、そうと決まれば早速教育のプロを呼びましょう」
「プロ?」
「正親おじさんのこと、魔法の基礎を教えてくれる人が必要でしょ?」
なるほど、確かおじさんは覚醒直後の子供に魔法操作の基礎教えてる先生だったっけ。
こんな状況になった俺を気にかけてくれる数少ない親戚だ、魔法の使い方を教えてもらうのにはうってつけの人材だ。
「じゃあ、ちょっと魔法界まで行って呼んでくるわ」
姉さんはすくっと立ち上がると、自分の鞄を手に取り玄関の方に歩き出す。
俺は一瞬それを見送るが…
「魔法界!?」
大事なことに気がついた俺はハッとして立ち上がり、その後を追い、靴を履く姉さんを呼び止める。
「ちょっと待てよ! 魔法界!? 今この状況で俺を一人にすんの!?」
俺は後ろにいる子供達を指差して姉さんに訴える。
ほんの数秒前よりも、部屋の中はぐちゃぐちゃになっており、バタバタと暴れ回って収拾がつかなくなっている。
この状況を俺一人でなんとかするのは無理だ。
「だって、一日でも早く魔法使いたいなら、すぐ実行しないと」
「そうだけど、姉さん帰ってくるまでどのくらいかかるんだよ!?」
魔法界に行くために瞬間移動の魔法は使えない。
別の世界に移動する場合は、特定位置にあるゲートを通らなければならず、それを通って行き来するのは……一日かかる。
「姉さんが帰るまで、あの子供たちどうすればいいわけ!?」
こんな非常事態にそんな長い時間一人で対応なんかしてられないし、子供四人もお守りなんてしてらんない。
しかし、姉さんは足を止めない。
「大丈夫だって、修志今夏休みで時間あるんでしょ? それに自分でやったことでしょ、自分で何とかしなさいよ、じゃあね!」
その言葉に俺はぐうの音も出ず、その場にへたり込む。
姉さんはそんな俺を見ると、勝ち誇ったような笑みを浮かべて出かけていった。
こいつらを人間にしたのが本当に俺なら、確かに俺の責任だ。それは認めよう。
でも……でも……拾ってきたのは姉さんなのに……。
俺が『拾ってきたなら自分で面倒見ろ』っていう意見に耳を貸したことは一度もなかったのに……。
理不尽だ。
「なぁ?」
俺は一番近くにいたネコミミの頭をポンと軽く手を乗せた。
ここまで一言も発さず、おとなしく座り込んでいた彼女だったが、どうやら嫌だったらしく、グーでパンチを太ももに喰らう。
「いってーよ!」
俺はネコミミにそう言ったが、彼女はツーンと顔を背けて少し離れた場所まで歩いて行ってしまった。
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