第3話 突如現るケモミミキッズ
「うわぁっ! なんなんだこいつらは!!」
「女の子が一人、二人……奥にも二人いるわよ!?」
「ど……どこから女の子が四人も出てきたんだよ……!? しかも姉さんが抱えてたの……猫じゃなかったか!?」
実物かどうか確認したくなり、姉さんが抱える女の子の頭を撫でようと手を伸ばした。
しかし頭を触るより前に、女の子は俺の顔面に向かって、パンチを喰らわされる。
ちなみにグーだ。
「だ、大丈夫!?」
驚いた姉はすごい勢いで殴られた俺を心配してくれた。
正直、結構きた……。
でもそんなことより、先に解決しないといけない問題がありそうだ。
姉さんの抱えている女の子を指差して俺は言う。
「この子たち風邪ひくといけないから、服着せた方がいいんじゃねーの?」
「え?」
俺に言われて女の子を見た姉さんは、目が飛び出るくらいに驚いた。
「キャ――!! なんでこの子裸なの!? ちょっと待ってて、すぐ準備するわ!!」
姉さんは俺を突き飛ばし、靴を脱ぎ捨てて玄関を駆け上がると、急いでダイニングを通って隣の部屋へ駆け込み女の子達四人をかき集て扉をバタンッ! と閉めた。
閉じられた扉の隙間から、赤とか青とか黄色とか、さまざまな色の光が漏れ出ていた。
おそらく、子供用の服がないので、魔法で彼女達の服を用意しているのだと推定される。
俺はというと……しばらく家の外に出て着替え終わるのを待つことにした。
いや、全員十歳未満くらいの子供だから気になんないんだけど。
◇
「この子たち……多分この部屋にいた動物達だわ」
女の子達の着替えが終わった後、俺を読んで姉さんは開口一番にそう言った。
「根拠は?」
俺がそう尋ねると、姉さんは部屋の中を自由に動き回る女の子たちを見回す。
そして一生懸命タオルを隅に集めている一番小さな女の子を捕まえると、正座をして、自分の膝の上に乗せ頭を撫でながら根拠を口にする。
「部屋のどこにも動物がいない、ハムスターの檻が壊れてる、女の子達全員に耳が生えてるけど、そのいずれも、うちで飼ってた動物と一致するわ」
その話を聞いて、俺は腕を組み俯いて考え込んだ。
この子たちが元動物だと言うのなら、魔法で人間化したとしか考えられない。
そして、この家で魔法が使えるのは姉さん一人しかいない。
「まさか……マジで魔法使ったのか? 俺があんなこと言ったから……」
喧嘩の売り言葉に買い言葉で使ったかと疑ったが、姉さんは高速力で首と手をブンブンと振りる。
「バカ言わないで、禁忌の魔法なのよ!? 私がこんなことするわけないじゃない!」
確かに、その言い分には一理ある。
でも姉さんじゃないというなら、他にこんなことできる人物はいない。
俺は姉さんにもう一度疑いの眼差しを向けると、姉さんはこんなことを言い出した。
「っていうか……もしかして修志、あんたが魔法使ったんじゃないの?」
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