第4話 洞窟
「あ~暇だ〜」
カイトはアクビをしながら眠そうに大森林を歩いている
少しジメっとした空気に時折みせる木漏れ日が何とも幻想的だった
この森を抜ければノトの街が見えてくる
以前先行している勇者パーティーが森の奥深くの洞窟にできた魔物の巣を討伐してくれたお陰で、王国を出発して一週間今に至る迄魔物一匹見ていない。
「一様魔物の巣が有った場所を見に行きませんか?」
魔物というのは人間の負の感情が安息の地を求めて自然豊かな場所に集まりそれを糧に誕生するとされてきたが未だに真相は掴めていない
「そうだな!統率の取れた魔物が現れたら集団で襲って来て危険だからとりあえず、見に行くか!」
カイトはリオの提案で魔物の素があった洞窟を見に行く事にした。
少し迷いながらもようやく洞窟に到着した2人
洞窟に入ろうとするとリオはガクガク震えだした
「どうした?体調悪くなったか?薬草食うか?」
「いえ…洞窟の中……」
洞窟の中から強大な闇のエネルギーが溢れ出していた
「洞窟の中?まさか暗い所が、こ・わ・い・のかな?」
ニヤニヤしながらリオに言った
「ち違います!洞窟の中から闇のエネルギーが溢れ出してるんです!」
リオは震えながら怒りだした
「んー?全然わからないなぁ、魔物がいたら討伐しないと国王に俺が殺られるし、とりあえず入ってみよう」
リオを納得させ2人は洞窟に入る
〜道中
「小一時間歩いてるけど魔物いないじゃん!やっぱ闇のエネルギーなんて気のせいじゃない?」
「いや…気のせいじゃないですよ…段々エネルギーが濃くなって来てますし」
洞窟の奥に差し掛かった時だった
「あれ?誰かいる」
1人の人間?が何やら地面に魔法陣を書いていた
「おーい何やってるの?」
カイトは馴れ馴れしく話しかけた
「…誰だ貴様」
漆黒の長い髪で目にエメラルド色の輝きを宿す男性が覇気のある強い口調で答えた
それにより隣でリオは腰が抜けて座り込んでしまっていた
「俺はカイト一様本物の勇者だ」
「ハハハ…勇者がここにいる訳ないだろ今頃勇者は別の四天王と戦っているのだから」
「いや!本当に俺が本物の勇者だ」
あまりにしつこく勇者を強調してくるカイトを段々胡散臭く感じた
「まぁいい、自称勇者だろうが冒険者だろうが魔物召喚の儀式を見られてしまったからには殺すまでだ!我は四天王が1人、闇のドラゴン・ノウスメテウス」
「なっなに!!四天王だと!?」
カイトは驚き剣を構えた
「なんだその古びた剣は、そんな剣では我に傷一つ付ける事はできぬわ!
ここで我と出会った事を後悔して死んでゆけ」
強大で禍々しい闇のエネルギーがノウスメテウスの口元に圧縮される
「ブラックメテオブレス!」
圧縮されたエネルギーの球体が勢い良く飛んでくる
カイトは身動きが取れないリオを庇うようにリオの前に立った
バコーン!とカイトの上半身に直撃した白煙と、ともにカイトの防具がバラバラに吹き飛んだ
「我がブレスの一撃で逝ける事を光栄に思うが良い」
白煙が晴れるとそこには仁王立ちで上半身裸の状態でカイトが立っていた
「ゲホッ、ゲホッ!…その程度の攻撃では俺の体に傷一つ付ける事はできぬわ!」
防具や服は攻撃の影響で弾き飛んでしまっていたがカイトの肌には傷一つ付いていなかった
「バカな!我がブレスを無傷で耐えるとは、まさか…本物の勇者なのか!?」
「だから最初から勇者だって言ってるだろぉぉ」
カイトは剣を振り下ろす、パキッ!甲高い音とともにノウスメテウスに向かって斬撃が飛んでいった
ノウスメテウスは右の手の平に前に出しバリアを展開した、しかしカイトの斬撃には無力でバリアを切り裂き更にノウスメテウスの右腕を切断した斬撃の勢いは落ちる事無く洞窟の奥の壁を切り裂いていった
ザシュ!右腕を切断された痛みに苦しんでいたノウスメテウスの腹部にカイトの古びた剣の刀身部分が刺さる、パキッっと言う音は剣が折れた音で斬撃の後を追うようにノウスメテウスに向かって飛んでいっていた
「クハッ」
「どうだ!お前が馬鹿にした古びた剣の威力は」
ドヤ顔で満足そうにしているカイトだが剣が折れた事にすぐに気付く
「俺の思い出が詰まった剣がー」
カイトが叫んだと同時に、ゴゴゴッという音とともに奥の壁から洞窟が崩れ始めた
(ヤバい洞窟が崩れる)
ノウスメテウスとの戦闘の途中だったカイトだが敵に背を向けリオを担ぎ全力で走り出した
「逃げるな勇者!我はまだ負けたわけではないぞ!」
崩れゆく洞窟からノウスメテウスの声が聞こえたがカイトは何時になく真剣な顔で洞窟の出口を駆け抜けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます