第3話 持って来た物・忘れた物

「リオはどんな魔法が使えるの?」

道中カイトはリオに聞いた

「私は身体強化、攻撃力アップ効果のバフ系が得意で、水魔法が少しだけ使えます。まだ見習いなので水魔法あまり上手く使えないんですが…(笑)」


「目の前の岩に向かって水魔法やってみてくれないか!?

魔物と出会う前にリオの実力を見ておきたい」


「分かりました。」

(水の精霊よ我に聖なる水の力をお貸しください…)

リオから凄まじい程の魔力が溢れ出したが、魔力は杖に集まる事なくほぼ拡散していった

「ウォーターボール!!」

一粒のビー玉位の大きさの水の塊が杖の先端に出てきた

「ちっさ!!」

勇者は思わず口に出してしまう


小さな水の塊は勢い良く岩に当たる

ビチャ……


それは安物の水鉄砲を撃った程度の威力だった

「どっ…どうですかね?…」

リオは、ゼーゼー言いながら聞いてきた

「魔力無駄にしすぎ、少しの魔力を無駄無く杖に集める練習をしながら次の街まで行こう」

「分かりました。

とりあえず一旦休んで良いですか?」

リオに持っていたMPポーションを渡し少し休む事にした。


ゴクゴク

「変わった味のポーションですね!」

「………」

「何処で買ったんですか?」

「味が違うなんて珍しいな…街で買った普通のやつなんだけどなぁ…ハハハ〜」

1年前に買ったポーションを渡してしまったカイトは笑って誤魔化した

カイトは1年前の魔王討伐で準備して買ったMPポーションや薬草を間違えて持ってきていた

(リオがお腹壊さなかったらまだいける!)

持ち物の確認をせず急いで宿を出てきたため古い道具を持って来てしまっていた


「あっ!聖剣忘れた!!」

「は?じゃあ腰に付いてるそれは何ですか?」

「……昔使ってた練習用の剣」

鞘から剣を出して見せた

「刀身錆ちゃってるじゃないですか!!どうします?聖剣取りに戻ります?」

「いや…今戻ったりしたら……魔王討伐する前に国王に勇者(俺)討伐されちゃう…

このまま行こう!け、剣なんてどれも同じさ!」

(……ノトの街に着いたら新しい剣を買おう。)


カイトは青ざめながら次の街に向かう事にした。

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