中編BL小説『チョコミントはおあずけ』試し読み

※中編BL小説『チョコミントはおあずけ』の試し読みになります!


◎収録されている同人誌

→『月の沙漠』/A6(文庫)判/700円


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 午前七時二十分。コンビニは出勤前のサラリーマンやOLで賑わっている。俺は入口を掃除している女性店員に軽く会釈をして涼しい店内をいそいそと進み、お目当てのアイスに手を伸ばした。

「ありがとうございましたー」

 会計をすませて外に出ると沖縄の容赦ない朝日が照りつけた。買ったばかりのアイスを齧りながら横断歩道を渡り、アパートへと続く脇道へ入る。民家の石塀から伸びる鬱蒼とした木々では相変わらず、ジージーとやかましく蝉が鳴いていた。七月に入ると唐突に存在を主張し始めたこいつらは、今ではすっかり俺の目覚ましになっている。カンカンカンと音を鳴らしながらアパートの階段を上り、ニ階の一番奥の扉を開けると、むわっとした空気が押し寄せてきた。

「暑い。暑い暑い。暑すぎだろ……」

 もそもそと独り言を言いながらエアコンのスイッチを入れる。涼しい風が一気に噴き出てきて前髪を押し上げた。俺は残っていたアイスを食べ切って、再びベッドに潜り込む。あと二時間ほどゆっくり寝て、起きたら作業開始だ。出勤ラッシュと無縁の生活ができるのは在宅ワーカーのいいところである。

 母から電話がかかってきたのは午前十時過ぎだった。

普段はメッセージアプリでやり取りを済ませる母である。わざわざ電話してくるということは、何か余程の事情だろうか。

 俺は仕事を中断して、ベッドに置きっぱなしになっていたスマホを手に取った。

「もしもし。どうしたの」

「ああ、圭人? 実はね、おばあちゃんが……」

 告げられたのは母方の祖母の訃報だった。

 驚きはあまりない。施設で寝たきりになっていた祖母とはもう三年は会っていなくて、晩年の祖母がどのような状態だったのかもわからない。それでも電話を切ると大きなため息が出た。

 ごろ、と寝転がって天井を見上げるが、体が二ミリくらい宙に浮いているかのような感覚に襲われて慌てて目を閉じた。横切るだけで自分の生すら曖昧に感じられてくるのだから、死とは不思議なものである。

 十分ほど休んだ後は重たい体をなんとか動かして再び仕事に取り掛かった。明日はお通夜、明後日はお葬式である。今日の分と合わせて少なくとも三日分の仕事を終わらせなければならない。「ツチノコが歌おうがネッシーが空を飛ぼうが納期はやってくる」とは俺のフリーランス仲間の迷言である。そういえばアイツも、自分の結婚式の前日に徹夜をして仕事を終わらせてたな……。

 二十三時までかかってようやく急ぎの仕事が全て片付いた。さっとシャワーを浴びてストレッチをし、二十三時三十分には横になる。おおむねいつも通りの時間だ。生活習慣が乱れるのは嫌いなのでなんとかなってよかった。七時に起きて八時には家を出て、と明日の予定を考えていると段々意識が遠のいていく。


 ――真っ黒に焼けた腕が見える。小学生の頃の自分だ。隣に立っているのは色素の薄い、少し長めの髪をした男の子。夏休みに祖母の家に遊びに行くと、毎年必ず一緒に遊んでいた。まっすぐな笑顔が眩しくて、物知りだが気取らないいい奴だった。名前はなんだっけ。

「これ本当に食べていいの?」

「いいってば。絶対うまいから食ってみろって」

「でも、けいちゃんのおばあちゃんが、けいちゃんのために買ってくれたんでしょ。僕もらえない」

「俺に買ってくれたんだから俺のもんだろ。ってことはどうしようと俺の勝手だろ。ほら、早くしないと溶ける……あ、ほら、もう溶けてきてる!」

「えっ? うわっ」

「早く口開けろ、――」


 白い天井が視界いっぱいに広がった。カーテンからは日光が漏れ出し枕元でアラームが鳴っている。降るような蝉の声に一瞬、自分が今何歳で、ここがどこなのかわからなくなる。

 彼の名前はなんだっけ。

 アラームを止めてしばらく考えていたが、五分ほどで我に返った。早く支度をして家を出なければならない。身支度を整えて朝食を食べているうちに、夢は意識の底に沈んでいった。ガソリンが少なくなってきていることを思い出した俺は、予定よりも十分早く家を出た。  

 一時間半ほど車を走らせて離島にある祖母の家に着いた。一般家庭にしては少し広めの駐車場に既に何台か車が停まっている。母だけでなく、親戚や近所の人も祖母の顔を見に来てくれているようだ。もう少し人が減ってから中に入ることに決める。

車を停めて家の裏手からサトウキビに囲まれた農道を歩くと、十五分ほどで海に出た。石階段を伝って浜に下り、海岸沿いにしばらく行くと、一人の男が胡座をかいてぼーっと海を眺めているのが目に入った。

 痩せた体にぶかぶかの黒いパーカー、黒いスラックスに黒いスニーカーを履いている。不規則な海風に翻弄されるがまま、肩上まで伸びた金髪がせわしなく揺れていた。耳にはピアスか何かをつけているのだろう。時折太陽光を反射してちかちかと眩しい。

 ……彼の名前はあおい。日向あおい。

 俺は唐突に今朝見た夢を思い出した。恰好は似ても似つかないが、物思いにふける眼差しが記憶の中の彼と重なったのだ。途端に懐かしさが込み上げてくる。一緒に山で遊び、海で遊び、虫取りもした。夏祭りにも行った。あおいは物静かで読書家だったが、家まで呼びに行くと必ずついてきた。

今となっては自分がなぜ彼の存在を忘れていたのか全くわからない。彼と遊びたくて、毎年夏休みをすごく楽しみにしていたのに。

「あおい?」

 唇が勝手に彼を呼んでいた。女性と見まごうような可憐な横顔がこちらを捉える。

「あ……急にごめん。でも、あの、日向あおい? だよな?」

 じっとこちらを見つめていた瞳が驚いたように見開かれ――刹那、男はくるりときびすを返して脱兎のごとく駆けだした。

「えっ。おい!」

 追いかけようにもふかふかした砂に足を取られて上手く進めない。あたふたしている間にあおいは砂浜から道路まで一気に階段を上り、どこかに行ってしまった。

「なんだったんだ?」

 残された俺は呆然と立ち尽くした。人違いだったのだろうか。

 見た目も雰囲気もずいぶんと変わっていたから十分にありえる。それでも、いきなり全速力で逃げられるのは気分のいいものではない。「人違いです」とただ教えてくれるんじゃ駄目だったのだろうか。

 なんとなくもやもやしたものが喉の辺りにせりあがってくる。俺はわざと大きなため息を一つついて頭を振った。こういうのは忘れるのが一番だ。あの男が日向あおいだろうが別人だろうが、俺にはもう関係ない。そもそも夢で見るまで忘れていたような人物なのだから。

 気を取り直して来た道を戻る。昼時にはまだ若干早いが、少しくらい来客は減っただろうか。

「あら、けいちゃーん」

 祖母宅にたどり着き表を覗き込むと、ちょうど玄関から出てきたハツネおばさんと目が合ってしまった。ハツネおばさんは祖母の妹だ。にこにこと手を振りながらこちらに近づいてくるので、俺は軽く会釈をして少し早足で玄関に向かう。「捕まりませんように」という祈りも虚しく、ハツネおばさんはすれ違いざまに俺の右手をがっしりホールドしてきた。

「久しぶりねえ。いくつになったのかしら?」

「……二十七です」

「彼女できた?」

「いや、俺そういうのはちょっと」

「またまた。こんな時になんだけど、私の知り合いの娘さんがね、ちょうどいい人を探してるらしくて」

「仕事忙しいので」

「翻訳家でしょ? しかも在宅。出会い少ないんだから、忙しい忙しいばっかりだと婚期逃すわよ?」

「結婚はあんまり考えてないっていうか」

「もう! いっつもそうなんだから。せっかく顔もよくて性格もいいのに」

 ああ、始まってしまった……。

 ハツネおばさんの口から「外に出てこそ仕事」だとか「結婚しなくちゃ一人前になれない」だとか耳にタコができるほど聞かされた言葉たちがマシンガンのごとく飛び出す。世代が異なる人との会話は時に困難を極めるのだ。在宅ワーク・フリーランス・彼女なし・結婚願望なし・オマケに実務翻訳家とかいう馴染みの薄い仕事に就いている俺は、真面目に話した所でまずもって理解は得られない。

貝のように心と口を閉ざして無心で相槌を打っていると、いつの間にか話題が変わっていた。

「そういえば日向さんのお家の息子さん、帰ってきてるらしいわよ」

「へ?」

「日向、あおいくんだったかしら。東京の方に就職してたんだけど今年戻ってきたって。けいちゃん仲よかったわよね?」

「まあ小学生の時はそれなりに」

「そうよね、お盆休みのたんびに遊んでたものね。それでね」

 ハツネおばさんは家の中を気にするように視線をやり、声を潜めて続けた。

「なんだか心の病気らしいわよ。今、日向さんのお家のおばあちゃんがいらっしゃってるんだけどもね、お孫さん元気がなくて心配だって」

「はあ、そうなんですか」

「けいちゃん久しぶりに遊んであげたらどう? あ、そうだ。あれもいいんじゃないの? ほら、最近流行りの……ル、ル、」

「ル?」

「ほら、友達同士で一緒に住むやつよお」

「ルームシェアですか?」

「そうそれ!」

 思いがけないハツネおばさんの一言に俺は思わず吹き出してしまった。家賃を折半できたり話し相手ができたりとメリットがあり都会では流行っているらしいが、そもそも俺はありとあらゆる人づきあいが面倒で在宅ワークを選んでいる人間だ。四六時中他人と一緒だなんて考えただけで体がもぞもぞしてくる。

「冗談やめ――」

「それいいわね!」

「っ、ん⁈」

 予想外の方向から聞こえてきた声に、今度は変な風に息を吸ってしまった。軽くむせながら声の聞こえた方に視線をやると三十代半ばくらいの女性が瞳を輝かせてこちらを見つめていた。

 優しそうな垂れ目と艶やかな黒髪はどこかで見たことがあるような気がしたが、なかなか思い出すことができない。右手で誰かの手を引いているのでたどっていくと、そこにはなんと、先ほど浜辺で遭遇した金髪男(推定:日向あおい)が溶けかけのチョコミントアイスバーを片手に立っていた。

「あなた鈴鹿圭人くん?」

「そうですけど」

「やっぱり。私、花柳薫っていいます。あおいとは近所で昔からたまに遊んでるんだけどね、この子、最近全然元気なくって。何か気分転換しようにもこの島には海と山しかないし」

 『薫』という名前には聞き覚えがあった。あおいが昔たびたび遊んでもらっていた近所のお姉さんだ。あおいの家の近くで何回かすれ違った記憶もある。

 薫さんは遠慮がちな上目遣いでこちらを覗きこんだ。

「圭人くんがもし街の方に住んでるなら、よければちょっと預かってもらえないかなあ、なんて」

 唐突な展開に頭がクラクラする。どうにか断れないものかと思考を巡らせるが、何をどう伝えればいいのかさっぱり見当がつかない。

「どうかしら? 昔あんなに仲がよかったんだから、圭人くんもきっと楽しいと思うのよ」

「そうは言っても、俺ん家そんなに広くないですし」

「そこを何とか! こんなに細いんだから場所なんてほとんど取らないわ」

 薫さんはつないでいた手を離してあおいの二の腕の辺りをバシバシと叩いた。元々線の細い男だったが、もはや病的とも言えるレベルで痩せてしまっているのは確かだ。筋が浮き出るほど細い首筋に気づき、ちくりと胸が痛む。しかし自分にも生活がある以上、そう簡単には引き下がれない。

「あおいだって慣れた場所の方が落ち着くだろうし」

「そうなの?」

 頼む。うなずいてくれ……!

 すがるような想いであおいの横顔を見つめる。視線を感じたのか、あおいは気だるげにこちらを見た。耳についているシルバーのピアスがちかっと光る。

「俺は、実家は別に」

 なんでだよ⁈

そんな人生全部面倒くさいみたいな成りしてるくせに、十数年会ってない相手といきなりルームシェアするハメになってもいいのか、お前は。

っていうかこいつ、さっき俺から逃げてなかった?

「ねえ圭人くん、本当にお願いできないかしら。ちょっとでいいのよ。私、とても心配で……」

 お願いします、と改めて頭を下げられる。ただの近所の男の子になぜ薫さんがここまでするのかはわからないが、心から心配そうな、思い詰めたような顔をしていた。

俺は断りきれなくて、迷った末に曖昧にうなずいた。

「まあ、一ヶ月くらいだったら……」

「ほんとに⁈ ありがとう!」

 薫さんはぴょんっと少女のように飛び跳ねて破顔した。

「圭人ー? 油売ってないで早く来なさいー!」

 家の中から母の声がする。俺はハツネおばさんと薫さんに会釈をして玄関に急いだが、すぐに引き返してあおいに近寄った。本気でルームシェアをするつもりなのかも含めて後でゆっくり話し合いたい。

「あおい、後でお前の家に」

「待ってる」

「え?」

 枯れ枝のように細い腕がするりと伸びてきて俺の手首を掴んだ。

「待ってるから」

「圭人ー?」

 再び母の声がすると、あおいはパッと手を離した。俺は戸惑いながらも、その場を離れて家の中に入った。


 靴を脱いでいると一人の女性が歩いてきた。

「あら、けいちゃん。このたびはご愁傷様です」

 祖母と同い年くらいの品のいいご老人だ。俺はつられて会釈を返す。

「大きくなったわねえ。こんな時に場違いだけれど、会えて嬉しいわ。落ち着いたらまた家にも遊びに来てちょうだいね」

 女性はそう言って靴を履き、家を出ていった。俺は奥の部屋に向かいながら女性が誰なのかを考える。正直全く覚えていない。近所に住む祖母の友人だろうか。

「圭人、やっと来た。奥に来てお線香あげてちょうだい」

棺の横には目を赤く腫れさせた母が座っていた。数年ぶりに見る祖母の顔にはしわが増え、髪もずいぶんと細くなっていたが、綺麗に死化粧が施されて今にも起きて動き出しそうだった。少し空いた口からは寝息すら聞こえてくる気がする。

「施設に入ってる間にすっかり歳とっちゃた」

 お線香を上げ終わると、母が話しかけてきた。視線は祖母の顔に向けられたままだ。

「仕事が忙しい、ばっかり言って全然会いに行ってあげられなかった。仕事なんかよりよっぽど大事な存在だったのにね。こういう所、私本当にだめね」

「……俺だってそうだよ」

 しんと静まり返った空間に母の鼻をすする音が響く。二人で棺にお花を入れ終わると、一晩泊まっていくという母と別れて家を出た。駐車場には母と自分の車しか停まっていなかったが、俺の車のすぐ近くに誰かが立っている。。

「あおい?」

 直感で名前を呼ぶ。

「久しぶり、けいちゃん」

 スマートフォンをいじっていた人影がこちらを振り向いた。俺はなんだかどっと疲れて、大きなため息をついた。

「お前さあ、浜辺で逃げたのはなんだったんだよ。そんでなんでしれっと俺の車の近くにいるんだよ。怖えよ」

「浜辺では知らない人だと思ったんだ。昔とはずいぶん変わってたから……。それに『待ってる』って言ったじゃん。俺、けいちゃん家に行っていいんでしょ」

 あの意味深な「待ってる」はそういう意味だったのか。

「でもさ、お前本当にいいのか? 俺のアパートそんなに広くないし言うほど街中でもないぞ」

「いい。実家じゃなければどこでも」

「そんな家族と仲悪かったっけ?」

「別に? 仲はいい方なんじゃない?」

「じゃあなんで?」

「さあね」

 詳しく話すつもりはないようだ。俺の質問に煙に巻くような返答をしながら、あおいは猫のようにするりと助手席に乗り込んでいた。

 山間の道を抜けて海沿いの国道に出る。しばらく行くと海の家にぽつぽつと海水浴客がいるのが見えた。そういえばここ数年海水浴に行っていない。海は泳ぐより見る方が好きだが、たまには思いっきり遊んでみたい気持ちもある。

「けいちゃん、海行こう」

「今からは無理だぞ」

「わかってる。俺がけいちゃんの家にいる間に行こう?」

「暇があったらな。そういえば着替えとかはいいのか?」

「うん。ばあちゃん送った時に持ってきたから。久しぶりにけいちゃんに会ったって喜んでたよ」

「ばあちゃん? ……ああ、そういうことか」

 祖母宅の玄関ですれ違った品のいい女性を思い出した。タイミング的に、彼女があおいの祖母で、あおいは送迎を任されていたということなのだろう。

 それきり俺たちは会話もなく、気づけばアパートに到着していた。

「おじゃましまーす。へえ、なんか思ったよりもすっきりしてる」

「外はちょっとボロいけど中は意外と綺麗だろ」

「うん」

 あおいは背負っていたリュックを置くと、きょろきょろと居間全体を見回し始めた。

「あんまりジロジロ見るなよ」

「いいじゃん。減るもんじゃないんだし」

「マナーってもんがあるだろ。ほら、座ってろ。麦茶でいいか?」

 麦茶を二人分グラスに注いであおいの向かいに腰を下ろす。まじまじとあおいの顔を見れば、目鼻立ちには幼い頃の面影が多分に感じられた。それでもピアスに金髪・黒ずくめとくればパっと見の印象はだいぶ違う。

「けいちゃん、見た目結構変わったよね」

 同じようなことを考えていたのだろう。麦茶を半分まで一気に飲み干すと、あおいはまっすぐにこちらを見つめながら言ってきた。

「背すごい高くなってるし筋肉ついてるし。いいなあ」

「そうか? あおいが細すぎるんだよ。背はともかく筋肉は食って筋トレしてぐっすり眠れば自然とついてくる」

「それをさ、当たり前にできるのがまず一握りなんだよ。けいちゃん、中身は全然変わってないね」

 伏したまぶたで大きな瞳が陰る――あおいは見た目も中身もずいぶん変わった。

昔のあおいは誰にでも愛想がよくて親切で、もっと爽やかに思い切り笑う少年だった。何が彼を変えてしまったのだろうか。声を潜めて「心の病気らしいわよ」と言ったハツネおばさんの顔や心配そうな薫さんの顔が浮かんできた。

「ねえ、俺いくら払えばいい?」

「食費だけもらえればそれでいいよ」

「そう? じゃあお言葉に甘えて」

 お金の話をするとルームシェアが一気に現実味を帯びてくる。まあいいか、捨て猫を拾ったと思おう。自分で食費を出す捨て猫なんてちょっと笑える。里親が見つかるまで預かってやらんこともない。

 あおいと目が合う。わざとらしく微笑んで首を傾げてきたので、デコピンで返しておいた。


(試し読みおわり)

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