　日ノ本　火種です。今回はイカの魔物が相手ですが、師匠とのデート……いえ修行を邪魔されたとあっては怒り心頭、容赦は出来ません。確実にぶちのめしたいと思います。

「オラァ‼」

”スパッ”

　霧子ちゃんが大鎌を振うと、イカの足の一つを切り落としました。扱い辛そうな大鎌ですが、今回の敵には相性が良い様です。私も負けてはいられません。

　私は相手の胴体目掛けて走り込んで行きます。その間にイカゴッドの足がビタン‼ビタン‼と私目掛けて攻撃を仕掛けてきますが、そんなのに当たる様な軟な鍛え方はしていないつもりです。寸前の所で躱しながら一気にイカゴッドに辿り着きました。

　ブータン戦にて弾力のある敵との戦い方は熟知したつもりです。イカゴッドの目の前で私は飛び上がりました。

「一点突破・廻‼」

　右手で師匠譲りの一撃必殺の刺突を繰り出そうとする私。しかしなら相手もそれを読んでいた様で、寸前の所でバリアを張って私の攻撃を遮ろうとします。

　しかし、私の前に立ちはだかる壁はぶっ壊して進むのみです。

　回転と炎が加わった私の刺突はバリーン‼とバリアーを突き破り、そのままイカの頭に突き刺さりました。

「ギャア‼」

　短い悲鳴を上げるイカゴッドですが、指の第一関節ぐらいしか刺さらなかったので、どうやら未熟な私の技ではバリアーを壊すことは出来ても、勢いを殺されてしまって一撃で仕留めることは出来なかった様です。全くもってお恥ずかしい限りです。

「お返しに墨を喰らえ‼」

　イカの口から勢いよく吹き出される墨。空中に居る私はそれをきりもみ回転で避けます。少しだけ戦闘服に墨の飛沫がかかるとジュウと音を立てたので、どうやら酸性の攻撃の様です。

「ふぅ、危なかった」

　スタッと砂浜に着地した私はとりあえずイカゴッドから一旦距離を取ります。

　師匠ならこんな時、一気呵成に攻め立てるのでしょうが、今回は皆で戦っているので私一人が無理をする必要はありません。私達は五人で一緒の魔法少女ですもんね。

　さて、肝心のイカゴッドま未だに墨を吐き続けているんですが、何か意味があるんでしょうか？

「ふっふふ、俺の墨は攻撃以外にこんな使い方が出来るのだ」

　得意気なイカゴッド。すると吐き出されたイカ墨が何かの形を形成し始め、最終的にイカゴッドのシルエットの様になりました。

「見たか‼これこそイカ墨分身‼私と寸分違わぬ性能の分身だぞ‼恐ろしかろう‼」

　これは厄介なことになりましたね。体は強酸性の墨の分身ですし、倒すにしても墨の固まりなので倒しようが無いでしょう。ここは本体を叩い途方が賢明の様な気がします。

　ここで何故か涎を垂らしている彩夏ちゃんが口を開きます。

「じゅるり……あれだけいっぱいイカ墨があったら、イカ墨スパゲッティが食べ放題だね」

　彩夏ちゃん確かに食べ放題かもしれないけど、酸を中和しないと食べれたものじゃないと思うよ。私はそれとなく注意しようとしましたが先に霧子ちゃんが「バカかテメー‼」と彩夏ちゃんの頭を乱暴に叩いてしまったので、彩夏ちゃんは涙目になってしまいましたとさ。

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