第54話 宇宙人の自己紹介

 雫 流子です。

 突然現れた我々の同業者を語る女の人が、アメンボ型の敵を一掃してしまいました。


「私の名前はウィザード・プラズマ‼大事なことだから二回行ったデス‼」


 大事なんだ。私は魔法使いの名前なんて大事なんて思ったこと無いので、理解できませんが。


「ありがとうございます。ウィザード・プラズマさん。とっても助かりました♪」


 日ノ本さんが笑顔でお礼を言います。突然現れた変な人にもお礼を言えるなんて凄いですね。私には無理です。


「お姉ちゃん。本当の名前はなんて言うの?」


 彩夏ちゃんがウィザード・プラズマさんの本当の名前を知りたがっている様です。金髪なので外国人という可能性もありますね。


「通常時の私の名前はエレクトロン。遠い宇宙からやって来た女デス」


「へぇ、そうなんだ。」


 ……ん?おい彩夏ちゃん。納得したらダメでしょ。宇宙人とか言ってる人を完全スルーするのはどうなの?

 でも魔法少女で宇宙人というのは設定盛り過ぎだと思うので流石に嘘だとは思いますが。


「宇宙人?一体どういうことですか?お姉さん宇宙人なんですか?」


 日ノ本さんは引っ掛かってくれたようで、詳細を聞き出そうとしてくれています。

これに対するエレクトロンさんの返答がこれです。


「ハーイ♪私はエレク星というところの王女をやっていまシタ♪星が滅びたので今は宇宙をさすらう侵略者デスが♪」


……どうやら宇宙人設定は守り切るつもりらしいですね。見た目は綺麗な人なのに、頭の方は残念な人の様で。


「おーい‼お前等ぁ‼」


 チャガマさんの声がして振り向くと、遠くの方からチャガマさんと木隠さん、そして黒井さんがやって来ました。エレクトロンさんが魔法少女であることは間違いないと思うので、チャガマさんに聞けば彼女の正体が分かるかもしれません。


「おっ‼チャガマではないデスか‼お久しぶりデス‼」


 案の定、チャガマさんに手を振るエレクトロンさん。やはり魔法少女たるものチャガマさんと面識があるようです。


「げっ‼お前はエレクトロン‼」


 あからさまに嫌そうな顔をするチャガマさん。嫌がる理由が早く知りたいところです。


「チャガマさん知り合いなんですか?」


「あぁ火種。アイツはな。この地球を狙う侵略者だ‼」


「な、なんですとー‼」


 オーバーリアクションで驚く日ノ本さん。彼女が信じているのか信じていないのかはさておき、チャガマさんまで侵略者と呼んだので話が信憑性を少し帯びてきました。でも半信半疑にすらまだ至りませんね。

 宇宙人だと言われて、はいそうですかと信じられるほど、私の頭の中はお花畑ではありません。


「クックク♪ようやく信じてもらえたようデスね♪そうデス♪私は十年ぶりに地球を侵略しに来た宇宙人なのデス♪後輩ちゃん達、悪いけど倒させて貰いマス♪」


 私的には宇宙人であることをハッキリさせたかったのですが、まさかのバトル展開に。

 ……こういう人苦手だなぁ。




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