第53話 稲妻が地を走る
日ノ本 火種です。
敵の数が多すぎて一向に減っている気がしません。私はまだ体力的に余裕がありますが、他のみんなは呼吸が荒くなっているのでキツそうです。
敵は物量戦で私達を倒そうという考えでしょうか?色々考えるものです。
黒化して一掃するのも手ですが、あれは燃費が悪く、すぐに体力を使い果たしてしまうので、この様な大量の敵を相手にするのは向きません。
となると、やはり地道に倒して行くしか無いのでしょうか?
「はぁはぁ、日ノ本さん。流石に敵の量が多すぎませんか?このままではいずれ……」
弓で敵を撃ち抜きながら、流子ちゃんが喋りかけてきました。いずれ・・・の後は言わなくても分かります。
「そうだね流子ちゃん。でも気持ちで負けたら勝てるものも勝てないよ」
「精神論ですか……はぁ、分かりました。この身が尽きるまで頑張ります」
少し嫌味たらしく流子ちゃんはそう言いましたが、この状況で不機嫌にならない方が難しいでしょう。
きっと別れて戦っている霧子ちゃんもみどりちゃんも苦戦を強いらている筈です。
「お困りの様デスね」
聞き覚えの無い声がして、私がそちらを振り向くと、そこには白衣を着た金髪長髪の丸眼鏡をかけた女の人が立っていました。こんな戦闘の真っただ中、こんな格好の人が居るなんて目を疑いました。
その時、一匹のアメンボ型の敵が、背後から白衣の人に飛び掛かりました。
「危ない‼」
私は叫びましたが白衣の人は慌てた様子もなく、ただ右手をパチンと鳴らしました。
すると、空中に居るアメンボ型の敵にバチバチと激しい電流が走り、ポトリと真下に落ちたのです。
「フッ、私が指をパチンと鳴らせば、宇宙の人口を半分減らすことは出来ませんが、こんな芸当は可能なのデス♪」
得意気に胸を張る白衣の人。今のをこの人がやったとすれば、一体何者なのでしょう?
「サジ君、このエリア一帯にサンダーモニュメント投下デス。数は100ぐらいで良いでショウ」
白衣の人はそう呟きましたが、サジ君とは一体誰なんでしょう?
「日ノ本さん、あの人誰です?」
「誰あの人?」
流子ちゃんも彩夏ちゃんも白衣の人に気付いて私に聞いて来ますが、私だって分かりません。
アメンボ型の敵も未知なる存在に警戒しているのか、攻撃せずに白衣の人を観察している様でした。
「そんな所に居て良いんデスか?頭上に注意デスよ♪」
白衣の人が上を指差すと、一匹のアメンボ型の頭上から大きな何かが落ちてきました。
“ドーン‼”
それは雷の形をモチーフにした黄色い物体であり、その物体に押しつぶされたアメンボ型の敵は息絶えていました。
“ドーン‼ドーン‼ドーン‼ドーン‼……”
黄色い物体は一つではなく、至る所に落ちて来るので私は警戒を強めました。
「あー大丈夫デス。サジ君にはアナタ達に当てない様に言ってますので、逆に下手に動くと危ないデスよ」
そう言いながら白衣の前のボタンを外し始める女の人。すると白衣の中から黄色のフリフリの衣装が見えました。
「さぁ、100個全てが配置完了デス。魔法×宇宙科学の力を見せてあげまショウ♪」
白衣の人が右手の人差し指を天にかざすと、その指先に向かって天からチュド―ン‼と雷が落ちてきました。
どうやらその雷は白衣の人が呼んだらしく、彼女ははその雷のエネルギーを右手の人差し指に集中させ、彼女の指先がバチバチと光り輝きます。
「サンダーバスター‼」
白衣の人はそう叫びながら、自分の落した雷型の何かに向かって右手の人差し指を向けると。電流がビームの様に人差し指から照射され、雷型の何かに当たると、今度は雷から雷にドンドンとビームが照射されて伝わって行きます。
そうして間もなくして、雷型の何かから放出されたバチバチのプラズマが、周囲のアメンボ型の敵を襲い始め、アメンボ型の敵はなす術もなく蹂躙されて行きました。
「フハハハハハ♪見たか、これがウィザード・プラズマの力デス‼」
そうだと思っていましたが、やはり同業者の様です。
次回に続きます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます