第42話 出会って五秒でバトル

「あぁ、倒しちゃった」


 ども、日ノ本 火種です。

 倒しちゃった四角い奴。あーあつまんないな。もっと戦いたいよ。

なんだか衣装が黒く変色しちゃったけど、これはこれでカッコいいし、何だか力も普段より湧いて来るので良し。

 私が敵を倒して数分後、みんながやって来た。もう駄目だな、やる気ないんじゃない。


「遅いよ。もう私一人で倒しちゃったよ。じゃあ続きやろうか?」


 私達の喧嘩はまだ終わってない。みんなは、さっきの魔物よりは弱いだろうけど、それぐらい我慢するよ。


「日ノ本さん、私達が戦う必要なんて無いでしょう?それにその姿は何です?」


うるさいなぁ流子ちゃん。野暮なこと聞かないでよ。


「うるさい。早くやろうよ。どっちかが倒れるまで、心ゆくまでさぁ」


 私がニッコリ笑っているのに、みんなの顔はひきっている。どいつもこいつも頭に来るなぁ。


「そっちから来ないなら、私から行くからね。みんな死なない様に頑張ってね」


 私だって、この歳で殺人犯にはなりたくない。だってまだ魔法少女として戦っていたいから、もっと強い相手と戦っていたいから。最終的にはそう、師匠とも本気で戦いたいし。


“ダッ‼”


 私が地面を蹴って、一気にみんなとの距離を詰める。さて、誰からぶん殴ろうかな?

 やっぱりうるさいことを言ってた流子ちゃんからかな?

 うるさい奴は私の拳で黙らせる。今度からそうすることにしたの。

 けれど、私が流子ちゃんを殴ることは出来なかった。

 横やりならぬ、横蹴りが私目掛けて飛んで来たから。


“ガッ‼”


 顔面を蹴られて、私はすぐに蹴った相手が分かったのだけど、そのまま瓦礫に突っ込んでしまった。


“ドォォオオォォオオオオン‼”




 どうも二階堂 明だ。チャガマに付いて来て早々、バカが見えたので蹴り飛ばしてしまった。全く嘆かわしい。


「あっ、師匠さんだ。この間は彩夏たちを助けてくれてありがとう♪」


 金髪の子が私に向かって手を振る。屈託のない子だな。頑張って痩せたことも凄いし、どっかのバカ弟子とは大違いである。

 他の子は彩夏ちゃんと違って沈んだ顔をしている。大方、あのバカ弟子が暴走してやらかしたのだろう。クソ、これだから師匠になんかなりたくなかったんだ。責任を取らないといけないのが面倒くさい。


「お前等大変だっただろ?もう俺様が来たから安心だぞ♪」


 おいチャガマ、おいクソダヌキ。小さい胸を張って何ドヤ顔をしてやがる。どうせ私がこの事態を収めないといけないんだろうが。あんまり調子に乗ってると因果地平の彼方までぶっ飛ばすぞ。


“バァァァアアアアアアアアン‼”


「師匠————————————‼」


 瓦礫を消し飛ばしながら私のことを叫ぶバカ弟子。流石にあの程度の不意打ちキックでは倒れなかったか。

 もう奴の衣装が黒に染まっている。私はもう言葉で語る意味の無さを知っていたので、徹底的にバカ弟子とやり合うことにした。


「変・身‼」


 赤い衣装に身を包む私。ローブを上から羽織るからとはいえ、今年に入って私は何度この恥ずかしい衣装を着ているのだろう?


「師匠—————————————‼」


 うるさい声を出しながらバカ弟子が突っ込んで来る。何度も何度も師匠と呼ぶな。恥ずかしい奴。

 私はバカ弟子の大振りの拳を避けて上に飛び、そのままバカ弟子の頭を両足で踏みつけた。


“ドォォォォォオオオオン‼”


 辺りに土煙が起こる程に激しく踏んでみたが、この程度ではまだ動きそうだったので、すかさずバカ弟子の体を右足で蹴っ飛ばす。


“ガッ‼”


 サッカーボールみたいによく飛んで行ったな。

 しかし、バカ弟子は空中で体勢を立て直し、クルクルと縦回転しながら地面に着地した。


「やりますねぇ師匠。お会いできて嬉しいです」


「師匠の前では鼻血ぐらい拭け。このバカ弟子が」


まだ両手の怪我が治ってないが、この調子こいたバカ弟子を黙らすぐらい造作も無いことだ。


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