第26話 世代別のコミュニケーションでは許容するのが大事
俺の名前はバークマン。人の夢を食べてエネルギーに変えるバクの魔物だ。エネルギーも満点、これで魔法少女相手に戦っても大丈夫なのだが・・・。
「師匠凄ーい‼最高です‼」
目の前の魔法少女は俺に見向きもせずに、元魔法少女同士の戦いを見物してやがる。いや確かに目で追うのもやっとの高速戦闘は見応えあるだろうけどよ。戦う気になってる俺の気にもなって欲しい。
「ちょっと日ノ本さん。観戦ばかりしてないでコッチも戦いましょう。」
「えぇ、あと3分ぐらい見てたい。」
「駄目ですよ。ほら向こうの魔物も待ってますし、戦う気満々の相手を待たせるのは良くないですよ。」
「ちぇ、仕方ないなー。」
仕方ない?仕方ないって言ったかコイツ?このバークマンも舐められたもんだぜ。戦闘フォルムでビビらせてやる。
「そんな減らず口を叩いてられるのも今の内だ‼俺の戦闘フォルムを見やがれ‼はぁあああああああああああ‼」
俺は貯め込んだ夢エネルギーを使って自分の体を戦闘に特化した姿に変化させた。
人型の筋肉ムキムキマッチョマンにだ。顔はプリティなバクのままなのがチャームポイントである。
「どうだ?こうなった俺の力は通常時の10倍。つまりお前等は俺に勝つことは出来んということだ‼」
決まったー。後世に残されるであろう俺の名言。どうだ魔法少女達もさぞ怯えていることだろう。
「うーん、何か作り物っぽいハリボテの筋肉だね。あんまり好みじゃ無いかな?やっぱり筋肉は厳しい鍛錬によって作られた自然物じゃないと。」
「なん・・・だと⁉」
こ、この魔法少女め。俺のこの姿を批評しやがった。許せねぇ。
「ひ、日ノ本さん、すっかり筋肉フェチですね。」
「だって師匠の筋肉って凄いんだよ。硬いだけじゃなくてハリもあって弾力があって♪」
こんな奴ら変身する前にぶっ殺してやる‼
俺は魔法少女の変身を待たずに駆け出していた。別に魔法少女を恐れたわけでは無い。ただ単純に腹が立ったから一秒でも早く殺してやりたかっただけだ。
まずは赤い方から。
「夢パンチ‼」
俺は右手を振り上げ、赤い方に振り下ろす。これで一撃KOだぜ。
「変身‼」
しかし、赤い方の魔法少女は右手で俺のパンチを受け止めた。どうやら右腕の方から変身することにより俺の攻撃を防御した様である。
「火の魔法少女、ウィザードフレア見参‼これはお返しです‼」
そう言うと左手で俺の左脇腹を刺すように殴ってくるウィザードフレア。これには対応しきれずに俺は見事に喰らってしまう。
“ズドム‼”
鈍い音がして悶絶して両手で左腹を抑えて、後ずさる俺。たった一発のパンチでなんて威力だ。
「変身‼」
今度は青い方が魔法少女ウィザードアクアに変身し、変身するなり俺に向かって弓を構えた。待て待て、こっちはパンチのダメージが。
「アクアアロー束ね撃ち‼」
十本ぐらい束ねた水の矢をいっぺんに放ってくる。
“ヒュンヒュンヒュン・・・”
風を切りながら矢は俺目掛けて飛んで来る。防御も回避も取れない俺は、ドスドスと全ての矢を体に受けてしまった。
「がはぁ・・・。」
あまりの痛みに思わず倒れる俺。これは魔法少女達が見事と言わざるを得ない。
「やったか⁉」
「・・・日ノ本さん、あんまりそれ言わない方が良いよ。」
「えっ?なんで?起き上がって来て欲しいよ。まだ戦い足りないし。」
「あぁ・・・起き上がって来て欲しいんだ。」
「うん♪」
ふざけやがって‼
あまりのウィザードフレア発言に腹が立ったので、ゆっくりと立ち上がる予定が、ガバッと一気に立ち上がってしまった。
「わぉ♪」
わぉ♪じゃねぇよ‼本当に腹の立つガキだな‼
「俺の今の体は夢エネルギーによって構成されている‼つまりいくら体にダメージを与えようといくらでも再生するのだ‼」
語気強めに説明してやった俺。だが魔法少女二人は慌てた様子は無い。これだからZ世代は‼
「つまり核を潰さないとダメってことだね。丁度試したい技もあったし上等‼」
「本当に日ノ本さんって変わりましたね。すっかり戦闘民族じゃないですか。」
クソ‼私語は慎め‼今度はコッチから行くぞ‼
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます