黄昏-タバコ-

怜-𝑟𝑒𝑖-

単話予定

「フゥ…」

-タバコの煙が風に煽られ、青空にたなびく。それを見上げる俺-


無限に広がる空、可能性に満ちたその青色。対するタバコの火ってのは、なんだろうな…こう、灰になって消え行く灯火みたいなもんだな。社会に呑まれた俺のようだ。こんなに近くに希望が、光り輝く将来があるってのに…おれぁ、なんて情けねぇんだろうな。そんなことを思いながら、今日もいっぷく。


いつものおやじがやって来た。決まっていつも俺に話しかけてくんだよ。


[にいちゃん、わかばあるかい?]


って。

それに俺はいつもこう返すのさ。


「おやじ、もうわかばは廃版だ。売ってねえのさ。俺のマルボロならやるけど?」


するとおやじはいつもこう返す。


[あー、そうやったなぁ。わかばは売っとらんのやった。せやなぁ、マルボロもらうわ。]


こうしてふたりでタバコを吹かすのが、俺の日課だ。どうだい?笑えるだろ…


一日の始まりと終わりの狭間、黄昏の陰に…日々を想う。寒い季節になった。


-終-

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黄昏-タバコ- 怜-𝑟𝑒𝑖- @Rei1125

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