第83話 キスしよ
――好き。
私に触れてくれる指先が、たまらなく愛しい。
「しゅうくん。いいよ。我慢しなくて」
――好き。
子どもみたく一心不乱に私を求めてくる顔が、たまらなく身体を
「んっ。……うん。そうだね。もっと触りたい所触って」
――大好き。
荒い息を何度も繰り返して、顔を真っ赤にさせて、脳みそが
「私はもうキミだけのものだから。キミ以外の人なんて興味ないから、だから私にも教えて。男の人の、
――愛してる。
これまで人を本気で好きになれなかった自分が、どこか臆病で、その先の関係を望むのが怖かった自分が、その過去の全てが嘘だったかのように一人の男性に
「藍李さんは、俺だけのものですからね」
「うん。私はしゅうくんだけの女だよ。しゅうくんも、私だけの男でいてね」
「アナタ以外はどうでもいいです」
「ふふっ。なら好きだけ私に甘えさせてあげる」
――狂おしいほど愛している。
だから自分の魅力的な部分を心行くまま堪能させてあげて、そうやって無我夢中にさせるくらいには、彼を自分だけのものにしたがっている私がいる。
その願いがどれほど
『うわぁ。誰かを好きになると、私、こんな風になるんだ』
顔を真っ赤にして私の肉体の感触を確かめるしゅうくんを抱きしめながら、私は胸裏で驚愕した。
こんな自分。初めてだ。それまではあらゆる事象に対して冷静に、
そうして剥き出しになるのが純粋な欲求――この子を
『それでもいいって受け入れてくれるしゅうくんが悪いんだよ』
そうだ。全部。この子が悪いんだ。
私のことが大好きで、その愛を懸命に伝えてくれて、理性なんて軽く吹き飛ばすくらい私を一途に想ってくれる彼が悪い。
彼が際限なく私を愛そうとするせいで、私もその想いに応えなければと突き動かされてしまう。
私の行動は、彼の行動をそのまま転写しているだけ。
彼がくれる愛情を、そのまま――それ以上にして返してあげるだけ。
『私のことずるいって言うけど、しゅうくんだってずるいよ』
私の為に自分を変えて、私につり合う人間になりたいと努力してくれて、真っ直ぐに慈愛を帯びた瞳を向けてくるキミが狡い。
そんな風に一途に想われて、靡かない女なんていない。惚れない女なんて、いないのよ。
我ながらに彼にゾッコンである。呆れるほど、彼のことしか見えていない。
「藍李さん。めっちゃいい匂いする。この香り、俺好きです」
そんなこと言わないでよ。胸が昂ってしまう。
「あぁくそ。もうそろそろ止めないと理性が本当にぶっ飛びそうなのに、でも、触り心地が良すぎるせいで手が止まらない」
私はもうとっくに理性がぶっ飛んでいる。しゅうくんの指先が肌に触れた、あの瞬間から既に。
「好き。大好き。めっちゃ好きです。藍李さん」
「ふふ。そうだね。しゅうくんは私のこと大好きだよね。よく知ってるよ」
私もしゅうくんが好き。大好き。超大好き。そうやって顔を真っ赤にしているところがたまらなく興奮する――私を真に愛してくれているのだと、そう語らずとも教えてくれるから。
だから。
『ダメだ。抑えきれない』
想いは、恋慕は、この衝動は――歯止めが効かない。
散々彼に身体を触れられたせいで、理性が完全に蕩けてしまった。
理性は崩壊し、衝動と本能だけが脳を支配する。
その、完全にブレーキが壊れた思考が求めたのは、ただただ純粋な。恋人同士なら当たり前の行われる行為で。
それはいわゆる――
「しゅうくん。キスしよ」
そう言いながら、私は彼の唇を奪った――。
【あとがき】
1/13(土)の更新はここで終わりかなぁ。ちらっ。
まだ84話の原稿、改稿できてないんだよなぁ。ちらちらっ。
続き、気になりませんか? ちらっっ。
もう2話更新してるしまた3話更新する気かよと思ってるけど、これ、読者の皆は明日まで待てるかなぁ?
夕方ないし夜、最高の最高に甘い話が更新されるかもしれないなぁ。
明日の朝か、それとも今日……読者さまの反応で決めますッ。
Ps:俺、煽り上手過ぎるww
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