疑念編 第七話
「はぁ…はぁ……」
俺はいつの間にか知らない街へと行っていた。ここはどこだ…?その時、
「あっぶなーい!」
金髪のロングの少女がママチャリに乗って俺にぶつかってくる!
「あぁー!!」
「うおっ!」ひょい
あっぶねぇ…!俺は危機一髪で回避した。
ガッシャーーーン!!!
少女は派手に壁にぶつかって事故った。
「あいたた…」
「おい、大丈夫かよお前!」
俺は少女の下へと駆け寄った。
「こんなの平気よ!平気!それより、悪かったわね。いくら自転車がパンクしてたとはいえ、貴方にぶつかりそうになってしまって」
少女は申し訳無さそうに俺に謝ってくる。
「別にいいさ。怪我がないようで何よりだ」
「そういうわけにも行かないわ。何かお礼をさせて。」
「ほんとに大丈夫だって!お礼とかそんなもんいらねーから!」
「貴方、優しいのね…」
少し顔を赤らめる少女。
「それよりお前の名前はなんだ?」
「あたしは東野由梨って言うわ。よろしく。」
「俺の名前は竜ヶ峰龍刃だ。」
「へー…それじゃあ、竜ヶ峰君って呼ぶわ」
「ご自由に呼んで頂いて結構だ。」
「あっ、そうだわ!あたしこれから塾に行かないといけないんだったわ!それじゃあね竜ヶ峰君!」
「お、おう。気をつけてな。」
由梨と名乗る少女は自転車に乗って目的地へと向かっていく…そういえば、東野って何処かで聞いたことあるような…なんだっけ?
そして、数十分が経過したころ…
由梨視点
近くの公園 女子トイレ内
「はい、はい…竜ヶ峰龍刃の接触に成功致しました。このまま対象者を観察したいと思います…わかりました。次の行動に移ります」
スマホで何者かと電話する由梨。
「では、失礼します…」
電話を切る由梨
「ふぅ、あいつらに気を使うの疲れるわ。まぁいいわ。上から命令されたことだしあたしも動かないとね。」
由梨視点終了
龍刃視点
そして翌々日
ガラガラ
「おはよう、お前ら」
教室に着いた俺は葉羽と織音に挨拶をした
「おはよー龍刃ちゃん!」
「おはよう龍刃」
二人共笑顔で返してくる。可愛いなちくしょう。
ザワザワ…
「なんだか教室内騒がしくね?これから何か起こるのか?」
「うん、なんでも3年に転校してくる女の子がいるらしいよ!それでその子はめちゃくちゃ美少女なんだって!だから皆浮かれてるんだよ!」
俺の質問にそう答える葉羽。なるほどなぁ、俺達の先輩で美少女か…俺も気になるから、授業が終わったら3Fでその子を探してみようかな。
「はいはーい!皆さんお静かに!授業始めますよ!」
教卓の机にダンダンと、本を叩きながらそういう志乃先生。さっきまで騒いでいたクラスメイト達は静かになった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして昼休み
キーンコーンカーンコーン
「よっしゃー昼休みだー!」
「龍刃ちゃん、私達とご飯食べない?」
そういう葉羽と織音の手には弁当箱が。だが、俺にはやるべきことがあるっ!
「すまねぇ葉羽、織音!俺はやりたいことがあるんだ!」ダッ
俺は勢いよく教室から出ていった
「あっ、龍刃!どこいくのさ!」
遠くに織音の声が聞こえるが構わない。そして、噂の転校生がいるという3階についた。
ワイワイガヤガヤ
生徒達が騒がしい。どうやら、3-Cに人が密集している。絶対に転校生はあの教室にいる…!そう確信した俺は3-C教室へと向かった。
「おい、ちょっとどいてくれ!」グイグイ
「お、おい!」
「なんだよ…!」
野郎共が文句言ってるがそんなことはどうでもいい!
ガラガラ
「ふぅ、やっと教室に入れたぜ…」
3-Cに見事に入ることができた俺はその子がいるであろう机を探す
「ねぇねぇ!東野さんってかわいいよね!」
「東野さん、よかったら俺と友達になってくんね?」
生徒達から質問攻めをされているその子は包囲されていて外見は見えない。だが、東野って…昨日のやつじゃねぇか!まじかよ!
「す、すみません…そんなに一気には答えられませんわ…」
困惑気味の由梨。するとそこへ
「由梨にゃんは親衛隊が守るでござるううううっっっっ!!!」
「うわっ!」
「何この人たち…」
突然、親衛隊と名乗る者達が窓をぶち破って登場してきた。
「はぁ、もっとややこしくなるわ…」
溜息をつく由梨。
「お前ら誰なんだよ!」
「竜ヶ峰君…?」
咄嗟に声が出てしまった。しまった!
「拙者達は由梨にゃんの親衛隊である!前の学校からの仲でござる!由梨にゃんに何かあったら拙者達が助ける義務でござる!」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!他校の生徒がここにくるのは不味いんじゃないか!?」
3-Cの者がそう言う。
「その件については気にしなくて大丈夫だ。面白そうだったから、私の権限で他校の生徒が入ってもいいようにした」
すると教室へ入ってきた鬼門先生はそう言い放った。全く、この人は…面白いと思ったらすぐに行動するんだから…
「そんなのだめだろー!」
「そうだそうだー!」
ブーイングを飛ばす生徒達。だが、そんなの構わずに鬼門先生は話す
「だが…ここに来るのはいいが、窓をぶち壊してもいいなんてのは作っていない。だから、わかるな?貴様ら」ギロッ
「ひ、ひっ!」
鬼門先生の鋭い目付きにびびる親衛隊。
「 こ い 」ガシッ
「い、いやあああああああ!!!」
親衛隊は鬼門先生によって指導室へと連れ去られてしまった。
シーン…
静まり返る教室内。まるで嵐が去ったかのようだ。てか、このぶち破れた窓どうすんの?後で直させるんかな。
「ていうか、早く食べないと昼休み終わっちゃう〜!東野さん、一緒に食べよう!」
「いいや!東野さんは俺と食べるんだよな!な!」
再び質問、誘いの嵐にかかる由梨。俺もそろそろ退散するか。転校生が誰だったのかわかったし。
「まっ、まって!竜ヶ峰君!」
由梨は龍刃を呼ぶが、クラスメイト達の声でかき消されてしまった。
2-A
ガラガラ
「たでーまー…」
「もう食ってきたの龍刃!?早くない!」
めっちゃ驚いている織音。時間結構経ってるだろと思い、教室にある時計を見ると…
時計12:50
うわっ!昼休みになってから20分しか経ってねーじゃん!あと30分もあるわ!
「実はまだ食ってないんだ…あはは…」
「えーじゃあ龍刃ちゃんは今までどこに行ってたのー?」
「それはちょっとトイレに…」
やべっ、これは流石に苦しい言い訳か…?
「20分もトイレって長くない?龍刃、何か隠してるでしょ?」
「い、いやぁ〜」
織音のギロリとした目に思わず目をそらしてしまう俺。
「あっ、わかったよ織音ちゃん!」
「ん?なにが?」
「多分龍刃ちゃんは、噂の転校生が誰か気になって見に行ったんだよ〜!」
「ぁ…」
唐突の図星に思わず声が小さくなる…こわっ!この子鋭すぎだろ!
「その顔は図星だねぇ?龍刃…?」にやにや
「そうだよそうですよー!あの子が気になったから行ったんだよ悪いか!」
「別に悪くないよ龍刃ちゃん?でも龍刃ちゃんが他の子の所に会いに行くってなんだかもやもやするよ…」ボソッ
「え?なんか言ったか?」
葉羽の前半部分は聞こえたが、後半が何言ってるか聞こえなかった。
「ううん!なんでもないよ龍刃ちゃん!」にこにこ
「この鈍感が…」ボソッ
「おい誰が鈍感だって織音!聞こえてるならなぁ!」グリグリ
俺は織音のこめかみをグリグリする。
「いだっ!いだいって!あ"ぁ"ぁ"〜〜!!!」
「ふふふっ♪二人共仲良さそうだね〜?」
「「仲良くね~し!(ないし!)」」
そうして昼休みが過ぎていった…
いちとぜろっ! @sousan0830
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。いちとぜろっ!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます