平和編 第四話

篠原と別れた俺達は、自分達の教室である2-Aに向かうことにした。


教室


「ふぅ…時間に間に合ってよかった…とりあえず座るか。」


「そうだね」


「なぁ、しおn…」


龍刃が織音に話しかけようとした次の瞬間。


「ん、何かな龍刃?」にこにこ


織音は満面の笑みで自身の机を龍刃の机にくっつけていた。


「おいおい、何のつもりだよ織音!」


「何って、隣同士だったら当たり前だよね?」


「それ前にも聞いたことあるぞ…」


「いいよね龍刃?」


「えっと…」


「い い よ ね ?」


「あっ、ハイ…」


「それより、僕に聞きたいことあったんでしょ?」


「あぁ、そうだったな。織音は葉羽のこと心配にならないか?まだ来てないし…」


「う〜ん、まぁ葉羽なら大丈夫でしょ。ただの風邪だよ。」


「そうかな…」


「そうだよ!じゃあ次は僕が龍刃に質問をする番だね!」


「まじか」


「龍刃ってさ…あの篠原さんと付き合ってんの…?」


「えっ、いやいや!愛菜とは付き合ってないよ!ただの友達だ!」


「嘘ついてないよね?」じっー


「大丈夫だ!」


龍刃はまっすぐ織音の瞳を捉えてそう答えた。


「それならよかった♪」


龍刃と篠原さんとの間に何もなさそうだし、龍刃を落とすのはゆっくりからでも良さそうだね♪


「一体何がいいんだよ…」


困惑気味の龍刃


「あははっ♪内緒だよ」


その時


ガラガラ


「はーい!皆さん座って下さい!今から授業を始めます!」


そして…昼休み


「うがーー!!!やっと昼休みだぜ…もうお腹空きすぎて背中と腹がくっつきそう…どっかで食うか」すたすた


教室を出ようとする龍刃


「待って龍刃」


織音は龍刃の袖を掴んだ


「なんだよ?」


「ぼ、僕と一緒に屋上でご飯食べない…?///」


「それぐらいいいけど…なんで顔赤らめてるんだ?」


「うっさいっ!///」ベシッ


「あだっ!」


「ほら行くよ龍刃!」ズルズル


「連れてかれるー」


屋上


ガチャ


ヒュー…


「うわっ、寒っ!もう春だってのに風が冷たすぎだろ…」


そういう龍刃の格好は制服のズボンにシャツ1枚と随分と薄着だった


「仕方ないなぁ、じゃ僕の上着を貸してあげるよ」すっ


織音は龍刃の身体に自身の上着を羽織らせてあげる


「ありがとな織音。でも織音は寒くないのか?」


「大丈夫だって!僕はかぜの子だからねっ!」えっへん


なんでこいつは自信満々なんだ…


「わかったよ。で、どこに座って食べるんだ?」


屋上ということもあって、周りには何もなくフェンスしかない。


「う〜ん、だったらフェンスを背もたれにして地べたに座ろうか」


「了解だぜ」


そうして両者は座り始める。


「では惣菜パンだしてっと…」ガサゴソ


龍刃は自分の鞄をあさり始める


「そんなのいらないよ龍刃」パシッ


織音は龍刃の鞄を手でどかす


「おい、何すんだ織音…」


「食べ物なら僕が龍刃の為に作ってきたから大丈夫だよ」


「それならそうと早く言ってくれよ…」


「ごめんごめん!手作り弁当を龍刃に渡すの恥ずかしかったんだ…///」


「…!」ドキッ


もじもじしてる織音可愛い…


「お、おう!」


「じゃあ開けるね…?」パカッ


「ゴクリ…」


ピカーッ!


弁当箱を開けた瞬間それが光りだした


「うおっ、眩しいっ!」


「って、す、すげーーー!」


驚きを隠せない様子の龍刃。それもそのはず。織音の手作り弁当箱はご飯、タコさんウィンナー、たまご、野菜etc...等といったバランスの取れた物であり、全部が光っていてとっても美味しそうなのだ。


「龍刃の為に昨日から頑張って作ったんだから!これぐらい当たり前!」ふんす


偉そうに胸を張る織音


あ…織音の指、絆創膏でいっぱいだ…ほんとに俺だけの為に作ってくれたんだな…


「織音ありがとうな!めちゃくちゃ嬉しいぞ!」なでなで


「ひゃっ!///突然撫でないでよ///」


「はははっ、ついな!じゃいただきまーす!」


パクパク


「ど、どう…?」


「うん!すげー美味しいぞ織音!いくらでも食える!」パクパク


「それならよかったよ…頑張った甲斐があったもんだね!」


そして数十分後…


「「ごちそうさまでした!」」


「いやー、美味しかったなー!あ、そうだ。この弁当箱洗って返すよ織音」


「いや、このまま僕に返してもらえれば十分だよ♪」


そうしないと龍刃の食べかす食べられないじゃないか…


「流石に悪いって…」


「 大 丈 夫 だ か ら 」


「あっ、ハイ…」


大人しく織音に弁当箱を渡す龍刃


「ご飯食べ終わったしもうそろ教室に戻ろっか龍刃?」ぎゅっ


ごく自然に龍刃の手を繋ぐ織音。


「わ、わかったから…!手をつなぐな…!」


二人は教室へと戻っていった。


同時刻 葉羽視点


「ここね…」


目の前には篠原愛菜がいる1-B組。実は葉羽は学校に来ていた。


コンコンコン


ガラガラッ


「ここにいる篠原愛菜さんって言う人いますかー?」


葉羽は大声でそう言う。当然、クラスメイトの視線が一点集中される。


「篠原さんでしたら、さっき体育館の方に行くのが見えましたよ。」


クラスメイトの一人が答える。


「どうもありがとう。」ガララッ


葉羽はクラスメイトに礼をいって其の場から立ち去った。


体育館裏


「どこにいるんだろ愛菜ちゃん…早くあの事が本当かどうか確かめないと…もし本当だったらこの包丁で…」チャキン


葉羽は虚ろな瞳で鞄の中に仕舞ってある包丁を眺める。


「斎藤さん?」


篠原は葉羽の後ろから現れた


「ひゃっ!」


思わず驚く葉羽


「こんな所でなにか用ですか葉羽さん」


「それじゃあ単刀直入に聞かせてもらうね。愛菜ちゃんは龍刃ちゃんと付き合ってるの…?」


「どうしてそれを…」


「私ね、愛菜ちゃんが龍刃ちゃんに告白してるとこ、見ちゃったんだ」


「なるほど…見られてしまっていたんですか。恥ずかしいです…それでさっきの答えですが、私は竜ヶ峰さんに振られました。そして、友達になりました」


「え、えええええーーー!!!」


予想外の答えに驚きまくる葉羽。そして、全ては自分の勘違いだと気づくと…


「私、いままで勘違いしちゃってたのー!?は、恥ずかしい!///」


さっきの不穏な雰囲気を持っていた葉羽はどこへやら…すっかり元の葉羽に戻っていた。


「だから私も竜ヶ峰さんを振り向かせるために頑張ってます…!」


「私"も"…?」


「はい!斎藤さんも竜ヶ峰さんの事好きなんですよね?」


「ど、どうしてそんなことを知ってるの…///」


顔真っ赤な葉羽


「そんなのなんとなくわかりますよ!」


「えぇ///」


「じゃあ、竜ヶ峰さん好きな者同士仲良くしましょう!ただし、抜け駆けは禁止ですよ!」


「う、うん。よろしくね愛菜ちゃん。」


二人は握手をして仲良く教室へと戻っていった。

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