平和編 第三話

翌日


「…き……て…」


誰か俺を起こす声がする…う〜ん…誰だ……?


「起きてっ!龍刃ちゃん!」バサッ


葉羽はそう言い、龍刃の布団を引き剥がした。


「おぉい!?寒いだろコラッ!」グイグイ


龍刃は葉羽が剥がした布団を奪い取ろうと引っ張る。


「かーえーせー!」


「だーめー!」


ガチャ


「あらあら♪仲がいいのね♪」にこにこ


「違うよー!///」


「葉羽の言う通りだ!俺と葉羽はそんな仲になるはずがないだろ!」


「…」


やっぱりそう思ってるんだ…私ではなく篠原ちゃんと…面と言われるとショックだよ…


「ん?どうした葉羽。急に黙りこくって」


「ううん!なんでもないよ龍刃ちゃん!それより朝ごはん食べよっ?今日は私が作ったから!」


「それならいいんだが…わかったよ。じゃあ、俺は下に下りるから」とてとて


「お母さんも行くわ。」とてとて


一人取り残された葉羽。彼女は龍刃のクローゼットの中まで近づき、そして…


「すー……………はー………………龍刃ちゃんの制服の匂い落ち着くな…なんで私じゃなくてあの子と…」


「そうだ!良いこと思いついたわ!誘惑したら龍刃ちゃんも…!」


虚ろな瞳から一転、急ににこにこしだした葉羽は急いで下へと降りていった


リビング


「あいつ中々来ないな…ご飯冷めちまうって…もぐもぐ…」


「あんたの部屋で何かしてるんじゃな〜い?」にやにや


「ばっ!葉羽に限ってそんなことねーだろ!いつもふわふわしてるような奴だし」


ガチャ!


「おはよう!龍刃ちゃん!お母様!」


「あぁ、おはよう…」


「おはよう!葉羽ちゃん!」


葉羽の奴、なんだか様子がおかしいな…さっきは急に黙ったかと思いきや、今はハイテンションだし…何かあったのか…?


「ごちそうさま。じゃあお母さん行ってくるわ」スタッ


「あれ?もうお母さん行ってくるのか。早いな」


「だって、あんたと葉羽ちゃんを邪魔するわけにはいかないでしょ?存分にイチャイチャしていいからね!でも避妊はしなきゃだめよ?」


「そんな…///龍刃ちゃんとイチャイチャだなんて…///それに避妊だなんて///」顔真っ赤


「やかましいわー!」ブォン


龍刃は手元にあったティッシュ箱で母親に向けて投げた。


「おぉっと♪危ない!じゃあね♪」バタン


母親は扉を閉め、回避する。


「龍刃ちゃん!お母様に物投げちゃめっ!だよ!」


「だってお母さんがありもしないこと言うから…」


「ほんとにそうかな龍刃ちゃん…?」


葉羽はそう言うと、龍刃に抱きついた。彼女の頬は真っ赤に染まっていて恥ずかしそうだった。


「お、おい!なんのつもりなんだよ葉羽!」ドキドキ


急に抱きつくなよ…///あいつの大きな胸が当たってやべぇ…!


「龍刃ちゃん…んー…」


「えっ?え?」


葉羽は困惑してる龍刃の唇にキスをしようとした…だが次の瞬間…


ピーンポーン


「あーーー!俺が頼んだ宅配物が来たんだぁ!早く行かないとなぁ!」ダッ


龍刃はわざとらしい様子で玄関へと急いでいった。


「龍刃ちゃん私とちゅーするのが嫌なんだ…」


そんなにあの子の事好きなんだね龍刃ちゃんは…私はどうしたらいいのかな…あの子を…………消せば……いいのかな……


虚ろな瞳の葉羽は意識が自然と包丁の方へと向かっていた。


一方龍刃は


「はいはい、どちら様…」ガチャ


「やっほー龍刃」


「お前は織音っ!どうしてここに…?」


「そりゃあ、龍刃と一緒に登校したいからに決まってるじゃん?」にこっ


「…!」ドキッ


こいつの笑顔可愛いな…


「それなら少し待っててくれ。準備して葉羽も呼んでくるよ。」


「ちょっと待って。葉羽は呼ばなくていいよ。僕は龍刃と二人きりで行きたいから…お願い!」


「そこまで言うならわかったよ…」


そして、龍刃は自分の部屋へと向かっていった。


自室


織音のやつ、さっきは二人っきりって言ってたけどもしかして俺の事が…?


「いやいや、ないだろ」


第一、俺は全然モテてない男だ。女の子に好意を抱かれるとかそれこそないだろ。


「さて、準備するか」


数分後…


「おまたせ。待ったか?」


「ううん、全然待ってないよ龍刃。それじゃあ、いこっか?」ぎゅっ


「お、おい!なんで手繋いでんだよ!」


「ん?こんなの友達なら当たり前だよ?」


「いやいや、こんなのおかしいだろ。万が一学校の奴らに見られたらどうするんだ。勘違いされんだろ」


「そんなに心配しなくて大丈夫だって!ねっ?」にこっ


くそっ!その不意な笑顔やめろよ…!ドキッとするだろうが…!


「もうそれでいいよ…俺は疲れたよ」


龍刃と織音が一緒に登校していると…


「竜ヶ峰さん、おはようございますっ!」


「あぁ、おはよう愛菜」


「ちっ…邪魔なのが入ったな」ボソッ


「ん?何か言ったか織音?」


「ううん!なんでもないよ龍刃!おはよう!」


「おはようございますえぇっと…」


「僕は佐々木織音って言うんだよ!」


「佐々木さんおはようございます!私は篠原愛菜って言いますっ!」


「うん、知ってるよ篠原さん」


「どうして私の事を知ってるんですか…?」


「まぁ、ちょっとね」


「ほらほら、そこで止まってくっちゃべってないで歩こうぜ。学校に遅れちまうぜ…?」


「おっと、そうだったね!それじゃあ、篠原さんも一緒に登校しよっか?」


「ほんとですか!ありがとうございます!」


篠原は嬉しそうにそう答える。


「こいつら仲良さそうだな…」


学校 校門


「おはようございます皆さん!」


元気に志乃先生は挨拶をする。


「「「おはようございます志乃先生!」」」


「うん♪皆さん今日もいい挨拶ですねっ♪花丸をあげたいですっ。」


「そんなもんいらないって先生…」


「それはそうと、今日は斎藤さんと一緒ではないのですか?いつも仲良く登校してたのではないですか?」


「うん、葉羽は今日体調悪いから遅れるってさ」


咄嗟に織音は嘘を先生に言う。


「何いってんだよしおn...」クワッ


龍刃は織音に突っかかろうとする。


「黙ってて龍刃」


織音は有無を言わせない圧倒的なオーラを醸し出していた


「お、おう…」


たじろぐ龍刃


「なるほど、だから今日は斎藤さんいないんですね。わかりました。」


志乃先生は納得した様子でうんうんと頷く


「それじゃあ、先生は先に行ってるので皆さんも早く来てくださいね?」すたすた


志乃先生は立ち去っていく。


「あの…斎藤さんって誰なんですか?」


疑問に思った篠原はそう呟く


「あぁ、愛菜は知らないんだっけ。斎藤葉羽は俺達の友達でもあり、クラスメイトでもある仲良い奴だ。」


「そうなんですね…なんか羨ましいです…」


「何いってんだよ!愛菜も大事な友達だよ!」にこっ


「竜ヶ峰さん…!」


「はいはーい!ストッーーープ!二人でそんなにイチャつかなーい!」


「い、いちゃ…!?///」


「ばっか!茶化すなよ!」


「ほら、行くよ龍刃!」ぐいっ


二人の距離にムカついた織音は、強引に龍刃を引っ張っていく


「ちょっ!痛っ!そんなに引っ張るなって織音!ま、また後でな愛菜ー!」


「はい、竜ヶ峰さん」フリフリ

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