第7話 ゲリラ狩り、始まる
あれからどれくらいの時間が経ったのか…
アダルベルトを倒したザグロブは溶鉱炉の横で大の字になって倒れ、しばしの休息を取っていると…
「ちょっと、ザグロブ!大丈夫!?」
聞き慣れた声を聞き、ザグロブはその目をゆっくりと開くとそこにはアイシャが自分の顔を覗き込んでいた。
そしてその後ろではゲリラ達が積み上げられたジャンクを漁っているのが見えた。
「…よう、てめーらよくもあんな面倒なやつをけしかけたな?」
「ザグロブ…!」
ザグロブは軽口を叩きつつ、痛む体を押して立ち上がって軽く体を伸ばす。
「…かなり手酷くやられたわね」
「なぁに、むしろあんな強え奴がいたとは思わなかったぜ。装備が無事なら何とかなったんだろうが…」
アイシャは心配そうな声でザグロブを気に掛けたものの、当の本人は自身の怪我を見て楽しそうな声色で喋るだけであまり気にしていないようだった。
依頼した自分が言うのも何だが、一歩間違えばアダルベルトにバラバラにされていたかもしれないのに死すら楽しんでそうな彼のその態度にアイシャはちょっとした不気味さを感じていると、
「そういやスケルトンベッドはあったか?」
ザグロブはまるで何事もなかったかのように、アイシャが教えてくれた例の設備について聞き出すと、彼女は慌ててその事を彼に伝える。
「あ、あぁ…それなんだけど、この地下の奥にもう一つ作業場みたいな場所があって…そこに置いてあったのよ、付いて来て」
そして彼は、アイシャに連れられてその作業場らしき場所へと向かうのだった。
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一方その頃…
ゲリラ達に襲撃され、復旧工事を行っている治安部隊のタワーにて動きがあった。
日光が照らす中、パラソルの下でアンティークのテーブルと椅子が置かれ、そこで男が…国王が優雅にティータイムを楽しんでいた。
なお彼の前には拘束衣に身を纏い、首輪をした人間達が立っているので優雅と言うには少々悪趣味ではあるのだが…
「これで全員かい?」
「はい、再教育前の囚人役十名。集結しました」
「結構結構…」
国王は目の前の囚人達について聞くと、あのクロームシルバーの装甲に身を包んだ側近は淡々と報告すると彼はニコリと笑った。
そしてティーカップを置いて立ち上がると、囚人達の目の前へと立って一度軽く頭を下げる。
「君達がここに来た理由は…分かるかな?まぁ、説明してあげると…私の命を狙う殺し屋とこの国を脅かす革命家集団を始末すれば再教育を施さず、君達を釈放しよう。ただし、革命家のリーダーは殺さないように…ね?」
「…」
彼は説明し終えるとその首を軽く動かして何かを促すと、クロームシルバーのサイボーグは何も言わずその手をピッタリと揃えて手刀でその拘束衣を破壊した。
拘束衣を破壊され、自由になった囚人達は揃って自身の腕を見て感嘆の声を上げた。
「よし、それでは君達の装備を修復したら早速コンビナートに行ってもらおう…そこにお目当ての物がいるからね」
それを聞いた囚人達は早速、側近の男の後をついて行くのだった。
「…うーん、もう少し戦力がいてもいいかな」
国王は一人置いて行かれ、再びティータイムを楽しみながら端末を取り出して何やらメッセージを送り始めた。
その内容は…
『黒い死神、ザグロブに一億。なお生死は問わず』
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