第62話 迎える新年。忘れられた―――
「あっけおめ!!!」
「あけおめー!」
冬休みに入り、あっという間に新年を迎え、恵と初詣に来ました。
「かっわいいねぇ……写真撮っていい?」
「どうぞどうぞ」
「キャー!!こっち見て!」
今日はふたりっきりでの初詣です。
理由はというと……
『わりぃ……風邪引いた……』
「お大事に……」
龍牙が体調を崩してしまったからです。
その情報はいつの間にか恵にもいってて、代わりにと飛んできてくれました。
「いやぁ役得だねぇ……」
「そういえば玲央は?」
「そもそも伝えてないからね!」
「流石恵……」
ふたりで初詣の長い列に並びながら他愛もない話で盛り上がった。
「そういえば氷華さ」
「んー?」
「受験どうするの?」
「あー……どうしよっかなぁ」
こんな私も今年には3年生。そろそろ考えなきゃいけない時期に入ってくる。
「氷華の頭なら進学し放題じゃん?」
「いやいや…私なんてそんな……」
「学年一位がご謙遜なさらずに…」
「いやいやいや……」
学年一位といってもひたすらに勉強を頑張ってるだけであって……
「……あれ」
「どした?」
「………なんでもない!それこそ恵はどうなのよー」
「いやぁ……分かりませんなぁ!」
何か違和感があったような気がしたけどすぐに忘れてしまい、その後も和気あいあいと恵と初詣を堪能した。
「氷華は何お願いしたの?」
「んー……今年も平和に生きられますように……かな?」
「なにそれwほんとは龍牙とイチャイチャ出来ますようにーとかでしょww」
「違うってばw……あ、龍牙の風邪が治りますようにって頼んどけばよかった……」
「はい長引きまーすw」
「そんなぁ……w」
(でも……なんでそんな変なこと願ったんだろ)
ふと頭に浮かんできた願いだった。
どうしてだろう。無難といえば無難だけど…
「よし!次はおみくじだ!」
「おー!!」
とりあえず後で悩むことにして、恵に連れられおみくじを引きに行く。
「……やった大吉!!」
「ずるい恵……私なんて凶なんだけど……」
「え、今どき逆に珍しいじゃん!なんて書いてる?」
「えっと……」
引いたおみくじを眺めてみる。
「仕事運はそこそこ…恋愛は………新たな出会いがあるかも………?」
「それって……私のことかな!?」
「恵は新しくないじゃん……まさか龍牙が浮気するとか……?」
「あ、そっち?」
「一年生に手を出すのかも……」
「その時はスパッと別れて私に乗り換えよ!」
「あぅ………」
新年早々嫌なものを見てしまい、気が滅入る。
何か良いことは書いてないかと探してみると…
「………大事なことを忘れる年になる」
「なんか散々だね…引き直そっか!」
「え、いいの?」
「今どきならありあり!」
凶のおみくじはポケットにしまい、新しくおみくじを引きにいったが、これまた凶を引くのであった。
「まぁまぁ!そんな落ち込まないでさ!」
「そりゃ落ち込むよ……」
「元気だして!ぎゅーしてあげるから!」
「………むぎゅ」
「ほにゃ!?」
「恵がいいって言ったじゃん…」
恵が手を広げて待っていたので胸元に顔を埋めるとすごく動揺されてしまった。
「いや……まさか氷華がそんなに………大胆だなんて…」
「……そう?」
「うんうん……去年までなら考えられなかったよ……」
「………うりうり」
「あ………新年最高かも……」
「私も……柔らかい………」
公衆の面前でイチャイチャしながらお互いに堪能しあう。
「恵……今年もよろしくね」
「こちらこそ!末永くよろしく!!」
こうして私達の初詣は終わり、すぐに3学期が始まっていくのでした……
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