第12話 とても最高な体育祭

「これより、体育祭午後の部を開始します」


「まずは応援団による応援合戦です。それではどうぞ!」



応援合戦

実はチア以外にも応援団もいる

そちらは基本的に男のみで構成されており

チアとは裏腹に熱いパフォーマンスが行われる


待機門で応援団のパフォーマンスを見ながら待っていると、周りのメンバーの緊張が伝わってきた



「大丈夫…大丈夫…」

「ここまでやれたんだから…うん…」

「氷華……」


珍しく恵まで弱気になっていた


(ったく仕方ねぇなぁ)


緊張する皆の方を向き、話し始める


「今日まで努力しましたよね?」


(小難しい言葉を並べるよりは…)


「だったらその自分を信じてあげてください」

「私は、そんなみなさんが大好きですよ」


最高の笑顔を振りまく


「「「「「「はい!!!!」」」」」」


これが一番効果的なはずだ


そして、遂に俺たちの番になる


「さぁ、全力でやりきりますよ」


「続きまして、チアによるパフォーマンスです。どうぞ!」



体育祭でのミニゲーム要素であるチア

ゲーム中では単純な音ゲーである

アップテンポのリズムに合わせてキーを押すだけ


ゲームだと簡単だったが…


(流石に緊張すんなコレは…!!)


今までと同じことをすればいい

そう俺自身も言い聞かせていたのだがいざ始まってみるとなかなかどうして恥ずかしい


(でも大丈夫…体は動く!!)


恥ずかしさを感じながらも思いっきり体を動かす。他のメンバーを置いていかないよう、なるべく調整しながら踊る


(……皆も練習通りに出来てるな)


そのままなんとか踊りきり、最後のキメポーズの後には盛大な拍手が上がった




「すげぇ………こんなの無料で見ていいものなのか?」

「というか氷姫ってあんなに可愛いんだな……」

「これじゃあ白組はかわいそう…ってあれ?」



本来ならこの後は白組の番

俺以外のメンバーは既に退場している



「なんで氷姫残ってんだ?」

「さぁ?……まさか放心してるとか?」



「えっと………」


放送席も困っているようだった


(そういや話通すの忘れてたな)


「大丈夫です!続けてください!」


「え、あ!はい!」


放送席にも聞こえるように声を張り上げ伝える


「えっと、それでは!次は白組のパフォーマンスです!どうぞ!」



白組用の曲が流れる

紅組とは対照的に少し落ち着いた曲調

それと同時にチアの入場が始まる



そして……



(2回も踊らせんだからついてこいよ!!!)


他のメンバーが定位置につき、踊り始めると同時に俺も踊り始めた


その踊りは先程とはまるで違う

周りに合わせる気など一切ない、全力の踊り


いや、それはもはや芸術の領域だった



このゲームのステータスのカンスト値は100

そして各ルートクリアに必要な対応するステータスの値は60程度


さらには70もあれば大抵のことはこなせる

つまりオール100なんてのはエンドコンテンツ


ただでさえステータスの暴力で普通に踊るだけでも他の追随を許さないだろう


しかし、そこに何としてでも成功させたいという人の感情表現が合わされば…


「私から1つ提案かあります」


長い写真撮影会のあと、白組のチアの人達に伝えたこと


それは…


「私は全力を出します」


「え、でも、そんなことされちゃったら私達…」


普通なら私の独壇場になるだろう

だが…


「みなさんはこの一週間、私の全力をお手本にしてきたのですよね」


どうしても合わせることは出来ない

それならば


「だったらついてこれるはずです」

「私はそう確信してます」







「なに……これ…」

「私達…あんな凄い人と踊ってたの…?」



あまりの光景にもはや恐怖を感じている先輩達

でも私だけは一心不乱に舞っている氷華を見つめ続けていた



(あぁやっぱり…)


始めてあったあの日からずっと思っていた

凛としていて、冷たく振る舞っているように見えても…


「大丈夫ですか?怪我して…ませんか?」


あの時の瞳の奥に垣間見た優しさ


(やっぱり……ほんとに!!!)


「めちゃくちゃかっこいいよ…氷華!!」






(あぁクッソ!!息が苦しい!!流石に連続はきちぃな!!!)


(周りは……なんとか形にはなってるか!!)


なんでこんなことをしてるんだ


俺の目的は波風たてずに処女クリアすること


こんなことしてたら好感度なんて上がるに決まってる


でも?折角の青春だし?先輩から託された想いもあるし?それにこれも学園の為だし?



(まぁ……後は…)



(今最高に楽しいからどうでもいっか!!!)



そのまま俺は最後まで踊りきり、終わった後には盛大な拍手を送られたのだった








ver2.00に更新しました

主なアップデート内容



2年目で獲得可能な新たなレア二つ名の追加

及び

それに伴ったステータスの上限値増加





2年目限定シナリオ「いざ夏コミへ」の追加

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