第36話 沖縄のビーチで楽しみたいようです。
「沖縄のビーチから、ごきげんよう!」
〈ごきげんよう!〉
〈え、水着可愛い!!!!〉
〈不意打ちの水着姿に大興奮〉
〈タンキニいいね!!〉
〈待て待て落ち着け、ももしかして弓姫も???〉
「いい反応をありがとう。なかなか似合っているだろう? 色気はないがな」
カメラの前でクルリと周り、水着姿を見せびらかす。
下はパンツで、上はタンクトップの上にカジュアルなトップスを羽織っている。まぁ、よくある3点セットだな。
「さて、コメントでも期待されているし、彩姉もこっちに来なよ」
「うっ、ちょっとだけ恥ずかしいね」
彩姉が着ているのは、フリルが施されたワンピースタイプの水着だ。いつも通り、髪はポニーテールにまとめており、清楚な雰囲気を演出している。
いつ見ても、綺麗な黒髪だな。俺が今世では金髪になっているからか、余計に魅力的に感じる。
それにしても、ふむ……やはり似合っているな。
「巧美ちゃん、凝視しすぎ」
「すまん、あんまりにも綺麗だからついな」
「……まぁ、いいけどね」
少し頬を赤く染めて、彩姉はそう答えた。
――なかなかに、色っぽい。
あの小さかった彩ちゃんが、こんな美人さんになるなんてな。時が経つのはやはり早いものだ。
〈突然の百合展開に大興奮〉
〈いちゃいちゃしやがってよぉ! いいぞ、もっとやれ!〉
〈お嬢、なんか口説きなれてない?〉
〈てぇてぇなぁ……〉
コメント欄もなかなかににぎわっているが、そろそろ話を進めないとな。
「……さて、本題に入るが――俺はAランクハンターになったぞ!」
〈おー、おめでとう!!〉
〈88888888〉
〈歴代最年少のAランクハンターの誕生やな!〉
〈半年でAランクまで上がったん、ヤバい〉
「というわけで、この前言った通り、竜の迷宮を攻略しに沖縄に来たってわけだ。今日から1週間ほど沖縄に滞在するぞ」
〈今日は土曜やからいいけど、月曜からは学校どうするん?〉
〈おっと、ずる休み確定か?〉
「学校は公欠扱いになったぞ。つまり、堂々と休めるってわけだ!」
〈草〉
〈いいんかそれでwwww〉
〈まぁ、部活で全国大会に出るより凄いことやから、アリなのか?〉
「とはいえ、今日はもう昼過ぎだしな。今日はここのビーチで遊んで、明日から竜の迷宮に挑む。……ちなみにここは、西園寺家のプライベートビーチだ。金持ちの友達がいると、こういう時に得をするよな~」
沖縄までも、洋介のプライベートジェットを使わせてもらった。
……そういえば出発前に洋介が「彩に手ぇ出したら、ちゃんと責任取ってくださいね?」と脅しなのかよく分からないことを言っていたな。普通そこは、手を出すな、だろうに。
「……そういえば、ビーチって何が出来るんだ?」
〈いや草〉
〈無計画なんかい!〉
〈ベタなのは、スイカ割りとか、ビーチバレーとか?〉
「いや、確かに普通は、スイカ割りとかをするってのは分かってるんだ。だけど……いや、一回やってみるか」
洋介が色々用意してくれた中に、スイカもあったはずだ。
「……あったあった。よし、じゃあやってみるぞ? 彩姉手伝って」
スイカを設置した後に、少し離れて俺は目隠しをする。そして、彩姉に体を何回か回してもらい、準備完了だ。
〈あれ、スイカ割る棒は?〉
確かに何も見えないし、
だけど……
「――ここだな」
俺は魔刀を作り出し、ザクっとスイカを切り分けた。
「……よし、スイカを食べようか。ほら、どうぞ」
「……ありがと、巧美ちゃん」
「んっ、なかなかにおいしいな」
「そうだね~」
〈ちょいちょいちょい!〉
〈何事もなかったかのように、スイカを堪能しないでwwww〉
〈え、目隠しの意味って何?〉
〈スイカ割りって知ってる? なんで普通にスイカ切り分けてんの?〉
「……だって、Aランクハンターだし? これぐらいはできて当然よ」
「私はこれほど綺麗に切り分けられないけどね」
「でも、目隠ししたところで、場所は分かるだろ?」
「それは、まぁ……」
〈あ、こいつら一般人じゃなかったわ〉
それからも、彩姉とビーチバレーをしてみたら、地面に巨大なクレーターを作る結果になり自粛。スポーツをやめて砂遊びでもしようとしたら、土魔法で一発だった。魔法ってすごいなー。
「なんか、ハンターって遊びにくいな……」
「そうだね……」
やることに困った俺たちは、海鮮バーベキューを楽しむことにした。
……うん、もうこれだけでいいかな。
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