第35話 昇級試験が終わったようです。



 ――何というか、その……飽きた。



 いや、最初は良かったんだ。指示を出しながらダンジョン攻略を進める、っていうのは新鮮だったからな。


 しっかり指示をしながら戦うって言うのは初めてだったけど、案外なんとかなるもんだな。味方のやれることを考えて、それを活かせるように立ち回ればいいだけだし。


 だけどなぁ……別に1人でも戦えるくね? っていうのが頭をよぎって。


 嫌、とまでは言わないけど……あー、なにより配信してぇ……。


 配信をしていないからか、いつもより力が出てない気がする。確実に調子が悪い。配信中毒か? 俺は配信しなきゃ生きていけないのか?


 意味の分からないことばかり考えているが、もう試験も終盤だ。このボス戦が終われば、この昇級試験は終わる。



 本来ならば、パーティメンバーと協力して、ボスが召喚する手下を殲滅して……っていう流れなんだろうけど、まぁ、ちょっとぐらい俺が派手にやってもいいだろう。ほら、俺個人の力を見せるのも大事だろ? たぶん。



「部屋に入ったら、一先ず待機してくれ。俺が全体に攻撃を加えるから、その後戦闘を始めるように」



 そんな指示を出してから、俺たちはボス部屋へと足を踏み入れる。



 そして、ボスであるウォーウルフロードが手下を15体召喚し――



「ふぅ……シャァア"ァ"ア"ア"ア"――ッ!」



 その直後に、全力で威圧。


 同時に魔刀を30本生成。


 硬直した各手下に2本ずつ飛ばすように軌道をイメージし、即座に放出した。


 初めて魔刀を使った時に比べると、かなり魔刀の強度と速度が上昇している。そのため、硬直したBランクモンスターなら、2本もあればほぼ確実に殺せる。


 また、魔力量もかなり増えているため、30本を作るぐらいなら余裕だ。


 ……ということで、手下は全滅。


 ボスが手下を召喚してから2秒たらずの出来事だった。



 ……やはり、いつもと比べて精度が落ちているな。何本か狙いから少し逸れてしまった。


 まぁ、それはさておき。



「中村は俺について来い。深森は小林を守れ。小林は隙を見て魔法攻撃をするように。ほら、ぼーっとしてないで、やるぞ!」



 全部俺一人でやると、たぶんダメだろうし、ここからは協力プレイだ。



 ……あー、配信してぇ。









「……って感じだったな」


〈草〉

〈それで早速配信してるわけね〉

〈そんなこと考えながら試験受ける人、お嬢以外におらんやろww〉

〈手ごたえはどう?〉


 試験が終わって帰宅すると、俺は居てもたってもいられず、配信を始めた。ダンジョン配信ばっかりだったから、たまにはこうやって雑談配信するのもいいだろう。


 あぁ、あと結果はまだ出ていない。Bランクまでは試験が終わったその場で合否が分かるのだが、今回は2週間ほど時間がかかるらしい。


 ハンター以外の資格を考えると、それでもかなり早いんだがな。


「手ごたえはバッチリだ。たぶん合格しているはず……まぁ、受かっていなかったら、また受けたらいいしな」


 とはいえ、そろそろAランクダンジョンに行きたいなぁ。


「あぁ、そうだ。Aランクダンジョンで配信するなら、彩姉と共闘することになるかもな」


〈おぉ!!〉

〈そっか。もうお嬢、弓姫にランク追いつくんか……あれ、早すぎでは?〉

〈2人の共闘楽しみやなぁ~!〉

〈どこのダンジョンに行きたいとかある?〉


「行きたいAランクダンジョンなら、1つあるぞ。この近くではないから、週末に飛行機を使って行くことになるだろうな」


 そこで現れるのは、"男"なら一度は夢見るあの魔物。



「――沖縄は"竜の迷宮"。諸君、俺はドラゴンスレイヤーになるぞ!」



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