第32話 女王バチとの決着がついたようです。
アメリカ最強の魔法使い――
「迷宮蜂の巣を調査中だったハンターたちに、できる限り女王バチをその場に留めるように指示してください! 私たちは急いでそちらに向かいます!」
アリスは風魔法を使って飛び上がり、一直線に迷宮蜂の巣へと向かう。
「俺たちも行くぞ!」
「了解!」
そしてそれを追うように、他の討伐隊が動き出した。
報告を受けてからここまで、わずか10秒未満の出来事であった。
◇
「――了解。お前らよく聞け! ここの第1階層で、女王バチが復活したらしい! それを留めるのが俺らの仕事だッ! 転移玉を使って、行くぞ!」
迷宮蜂の巣にて、調査と監視を任されていたAランクハンターの男は、連絡を受け、即座に仲間に指示を伝える。
そしてすぐさま転移玉を使い、第1階層へ転移した。
転移して目に入ったのは、女王バチがすでに第1階層から出て、近くにいた報道陣に襲い掛かろうとしていたところだった。
「させるかッ!」
男は女王バチへと攻撃を仕掛け、報道陣から注意をそらすことに成功する。
そして、女王バチは攻撃対象を男へと変えた。
「ギエェエッ!」
「――ッ!」
――おいおい、これのどこが
「気合い入れろッ! なんとか増援が来るまで、ここに留めるぞッ!」
男の仲間は全員Bランクハンターであり、この女王バチの一撃は致命傷たりえるだろう。
そのため男は必死に攻撃を続け、女王バチの意識を自身に集中させていた。
異常の発生したダンジョンの調査と監視を言い渡されていた彼は、Aランクハンターの中でも上位の力を有する。
そして仲間からの支援もあり、異常に強化された女王バチを相手に、なんとか時間を稼ぐことが出来ていた。
だが――
「ギィェェ工ェッ!」
――それは、相手が一体だけだった場合の話だ。
女王バチはスティンガービーを一気に20体召喚し、増援とした。
「あぁッ! クソッ! だからコイツは嫌いなんだよッ!」
スティンガービーはBランクモンスターであり、決して雑魚とは呼べない。にも関わらず、この数を、何度も召喚するボスモンスター。それがこの女王バチである。
「リーダー! 手下達は、俺らに任せてくださいッ!」
「――ッ! 頼んだッ!」
男たちは懸命に時間稼ぎを試みるも、やはり相手が悪かった。
女王バチを1人で相手するには、男の技量は足りず、徐々にダメージと疲労が蓄積されていく。
「ギィェェ工ェッ!」
――2度目の召喚。
これが、決定的な一撃となった。
みるみるうちに均衡が崩れていき、男たちはみな満身創痍となっている。
「クソッ……ここまでかッ!」
男が諦めかけたその時だった。
「――"燃え尽きろ"」
凛と響く、支配者の命令。
それにより、女王バチを除くスティンガービーたちは一瞬で、殲滅された。
「……ははっ、なんとか来てくれたか」
そこに降り立ったのはアリス・オールストン。
――
「おや? 女王バチの魔力量が少し減ってる……? まぁ、いいわ。次こそちゃんと殺してあげる。まずは――"落ちろ"」
アリスは一回目と同じように、まずは風魔法により、女王バチを地面にたたき落そうとした。
もともと風魔法は視認が難しい。加えて、アリスの発動速度が非常に速く、それは不可避の一撃のはずだった。
だが――それを知っていたかのように、女王バチは魔法を回避した。
「……なるほど。あなたは新しい女王バチではなくて、蘇生された女王バチのようね。蘇生される魔物なんて聞いたことないけど」
ダンジョンでは同じ場所に同じ魔物が湧くが、彼らは新しい個体であり、基本的に経験を積むことはない。
もし、ボスの魔物が毎回蘇生されていたら、今ほど簡単にダンジョンは攻略できていなかっただろう。
「でも、そんなこと関係ないわ。あなた、たぶん迷宮内で殺されたら蘇生できないでしょ? まずは送り返すところからね――ッ!」
そこからアリスは、最強の魔法使いの名にふさわしい活躍を見せた。
単独で、女王バチと互角以上に戦い、ダンジョン内に叩き返すことに成功。
そして遅れて合流した討伐隊とともに、再び女王バチを瀕死に追い詰めた。
「――さぁ! こんどこそ、死になさい!」
女王バチは、アリスの業火に身を焼かれ、
そして再び、女王バチが復活することはなかったのだった。
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