第29話 蜥蜴人の迷宮にリベンジするようです。
ダンジョン本部に俺たちが行ってから数日後、正式にダンジョン協会から逸脱種の存在が公開された。
未だ情報が少なく、逸脱種についてより詳しく解明されてから公表すべき、という意見も出たらしい。だが、俺の配信やその切り抜きが広く知られたことから、逸脱種の存在に言及するほかないという結論に達したようだ。
過去に発見された逸脱種によって殺されたという人もいたようだが、その人は問題なく第1階層で蘇生できたらしい。
やはり問題は、逸脱種がダンジョンの外へ出ることができるかが不明な点。もしダンジョンの外で逸脱種に殺されてしまえば、蘇生されることはないだろうというのが、戌亥さんの予想だった。
そもそも逸脱種が見つかった事例が少なすぎるため仕方ないのだが、たとえ今後発見したとしても、危険を冒してまで実験をするべきではないという話になっている。
「――もし、その階層にいるはずのない魔物を見つけたら、すぐにダンジョン協会に連絡してほしいとのことだ。連絡先は概要欄に貼ってあるからチェックしてくれ。この拡散にも協力してくれるとありがたい」
〈了解!〉
〈周りにも伝えとく!〉
〈いきなり強い魔物に襲われるかもしれないって、怖いな〉
〈その逸脱種が出た蜥蜴人の迷宮に入るっぽいけど、安全なん?〉
「コメントにもあるが俺は今から、蜥蜴人の迷宮の攻略を始める。詳しく調べたらしいが、なんの異変も見つからなかったらしい。また逸脱種が現れる可能性もあるが、二度と現れない可能性もある。なんの情報もないから、全く分からん」
とはいえ、そんな異変が起きたところにわざわざ行きたがる人はあまりいないようで、前回よりはるかに閑散としている。
……むしろそれを面白がって、ここに来ているようなハンターもいるっぽいが。
〈もう閉鎖してもいいと思うけどなぁ〉
〈別のCランクダンジョンでも良かったんじゃない?〉
〈本当に大丈夫?〉
「随分心配してくれているようだが、まあ問題ないだろう。いざとなったら転移玉もあるしな」
そういって俺は、初配信時に獲得した転移玉をカメラに映した。
「なにより、このまま別のダンジョンに行くのは悔しいんだ。中途半端に終わらせたくない。ハイリザードマンにもまだ勝てていないしな」
踏破もせず別のダンジョンに行くなんて、俺にはできない。
「ということで、今回は第20階層に行って、ハイリザードマンを狩るぞ!」
それから俺は、再び蜥蜴人の迷宮に潜り始めた。
前回よりも余裕をもって第14階層を通過し、そのまま第20階層にまで到達した。
「……あれが本来のハイリザードマンか」
確かに、リザードマンよりも魔力量は多い。だが……前回遭遇した逸脱種と比べると、誤差のようなものだ。
「それじゃあ、行くぞ?」
身体強化を施し、ハイリザードマンへ接近。
それに対してハイリザードマンは水の玉を放ってくるが……
「遅い――ッ!」
俺は魔力を纏わせた刀で、その魔法を斬った。
この程度の魔法なら、十分対処可能だ。
「……ッ! ガァアアッ!」
魔法が斬られたことに一瞬怯んだハイリザードマンだったが、咆哮しながら槍を水平に振り始める。
「シッ――!」
それに対し俺は、魔力を前腕に具現化し、裏拳を打つように動かして槍に対抗してみた。
「ガァッ!?」
明らかに体格差のある相手に攻撃を弾かれたことに驚いたのか、ハイリザードマンが一瞬硬直する。
当然、その隙を逃さず、俺は一歩前進し、ハイリザードマンを切り裂いた。
手ごたえはかなり硬かったが……斬れないことはない。
「――よし、難なく勝てたな」
〈圧勝やんww〉
〈さすが!!!〉
〈ハイリザードマン1体なら相手にならないのか…〉
〈お嬢の成長速度、冷静に考えてヤバくない?〉
む、成長速度ねぇ……。
「俺自身も、成長が早いことは実感しているぞ? だが別に、良いことだしなぁ……。まぁ、なんだ。俺の才能が、それだけ凄いってことだな!」
〈お嬢のドヤ顔可愛い〉
〈実際お嬢の才能は凄いよな。本人には言わんけど〉
〈これがおっさんなら許せんかったけど、美少女JKやから許せる〉
〈やはり、可愛いは正義〉
中身おっさんですまんな。ガワは良いから許せ。
「よし、これからしばらく、ハイリザードマン狩りだな! 俺の成長を見逃すなよ?」
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