砂漠の国とは関係ない話
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
―――聞こえているんでしょう?―――
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
―――まさか、こんなにも巨大な体をしているとは思わなかったわ―――
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
―――龍は、龍の気配を感知できる。私があなたの存在を感じているように、あなたも私に気づいているはず。ねぇ?砂漠に眠っている巨龍さん?―――
「・・・・・・・・・ふん。」
―――ようやく反応してくれた。初めまして、だね。
「人の縄張りに勝手に入りおったのはお前の方だろう・・・」
―――まぁね。悪いとは思ってるよ。でもしょうがないでしょ?あなたのいる場所は、深すぎるし。直接会おうと思ったら、あなたの縄張りの砂漠を全部吹き飛ばさなきゃいけないからね。―――
「ふんっ、それで?何の用だ?喧嘩でも望んでいるのか?」
―――私、そんな好戦的に見える?―――
「ぬかせ。お前のような小娘が、そんなバカげた力を隠しもせずに近づいてきたんだ。警戒して当然だろう」
―――敵対するつもりはないよ。砂漠の国を出るまでに返事をしてくれなかったら、ちょっとやってたかもしれないけど―――
「もういい。要件を言え」
―――・・・・・・龍王様が、・・・亡くなったわ―――
「・・・なんと」
―――200年くらいまえに、大きな戦いがあって、その時に・・・―――
「転生体は?龍王の転生体はどうなった!?」
―――大丈夫。無事だよ。今は、私の眷属が守護してる―――
「ふーむ。至天はどうなった。皆やられたのか?」
―――亡くなったのは、龍王様とカミクラさんだけ。他は無事だよ―――
「あの武龍までもが・・・。さぞ、激しい戦いだっただろうに・・・。相手はどんな邪龍だったのだ?」
―――・・・その存在を認めたくないほどに、暗い心の持ち主だったよーーー
「・・・・ふーっ、そうか。わしが隠居している間に、そのような戦いが起きていたとは。他の龍たちはどうしている?老子は息災か?」
―――ロンシェンさんのこと?あなたからすれば、相変わらず、なんじゃないかな?私もたまに挨拶に行くけど、まだまだ現役だよ、あの人は。スィーレンさんも楽しそうに時代を謳歌してる―――
「あの生娘が今や至天の龍か。わしも老いたな。それで、その後どうなった?」
―――どうって?―――
「肝心な所をぼかすな。お前がやったんだろう?その邪龍を・・・」
―――ふーん、ご隠居とはいえ、隠し事は通用しないか―――
「お前ほど染まっている龍も珍しい。だが、その強さは、黒く染まった故ではなく、生まれもったものだろう。気に恐ろしき小娘よ。まだ名を聞いていなかったな」
―――・・・
「・・・アカハネ・・・。変わった名だな」
―――本名だもん―――
「開晴龍・・・。はっ、世界を晴らす存在にでもなるというのか?」
―――名付けたのは私じゃないわ。文句なら名付け人に言って・・・―――
「ふっふっふ。それで人の姿でハルと名乗っているのか」
―――本名だって言ってるでしょ?―――
「面白い奴だな。まぁいい。久々に俗世の話をするのも悪くないな」
―――まだ話は終わってないよ―――
「ぬ?」
―――ロンシェンさんから伝言。今一度、至天の座についてほしいんだってさ。まぁ、私を含めても、4人しかいないからね。今は猫の手も借りたいんじゃないかな―――
「1万年もの時を生きたわしを猫扱いか。生意気な小娘じゃのう。」
―――私だって、好きで至天に着いたわけじゃない。龍王様の転生体が、自衛できるようになるまでって約束だから―――
「お前、自分の代わりを用意しようというのか?」
―――伝言だって言ったでしょ?別に強要はしないよ―――
「ぬぅ、今すぐと言うわけにはいかんな。ここから出なければならん。そうなれば地上にどんな被害が及ぶかわからんからな」
―――鳩の役目くらい請け負うから、返事だけでも聞かせてよ―――
「よかろう。近いうちに千天山へ参ろう。これも龍の務めだ。再び、重い腰を上げるのも悪くない」
―――そう、よかった。・・・じゃあ、私は行くから―――
「待て、アカハネよ」
―――うん?―――
「・・・わしの眷属が、世話になったようだ。感謝する」
―――・・・・・・いいよ。私は好き勝手やっただけだし、伝言が本命だしね。私は旅が出来れば何でもいい・・・―――
「・・・・・・行ったか。面白い小娘だ。あやつも国を持っているのだろうか?あんな出鱈目な娘が治める国とは、いったいどんなものなのだろうなぁ・・・」
続く
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