第3話 妹が積極的すぎる件

***

翌日、朝から琴音の様子が少しおかしかった。なんというか落ち着きがないというか……とにかく変だったのだ。

試しに話しかけてみても上の空だったし……本当に大丈夫かコイツ?

『キーンコーンカーンコーン』

授業が終わり昼休みになった時だった。

「ちょっと! そういうのやめてって言ってるでしょ!」

「もー、いいじゃん別にぃ〜」

「よくないから言ってるんだけど?」


俺はかなりイライラしていた。なぜなら琴音が俺以外の男と仲良く話しているからだ。しかも相手は中性的な男子で一部の女子人気が高いとか……なんだか面白くないな。

「あのぉ〜、お取り込み中すいません」

突然話しかけられて振り返ると、そこにはクラスメイトの女子が立っていた。名前は確か……堀宮さんだ。大人しい性格でクラスでも目立たない地味な女子という印象があった

「なに?」

俺は不機嫌そうに返事をする。

「えっと……その、一緒にお弁当食べないかなって思って……」

「え? なんで?」

「ほら、私たちってあんまり話したことないでしょ?だからこれを機に仲良くなりたいなって……」

なるほど、そういうことか。確かに彼女の言う通りだ。今まで同じクラスなのに全く接点がなかったからな。これを機に親睦を深めておくのも悪くないかもしれない。

「そうか……うん、いいよ」

俺は笑顔で答えた。琴音も別に異論はないらしいから。別にお兄ちゃんはあのタイプは好きじゃないとかぶつぶつ言っていたが。

「よかった!じゃあ中庭で食べようか」

「うん、そうしよっか」

琴音は嬉しそうに返事をした。さてと、俺も彼女達の所に行くか。そう思って立ち上がった瞬間、誰かに肩を叩かれた。振り返るとそこには男子が立っていた。名前は……なんだったっけ?思い出せないな……まぁいいか。

俺は友達が少ないし興味もないクラスメイトに対して興味も抱けない「ちょっといいか?」

「うん?」

なんだこいつ?何の用だ? まさか告白とかじゃないだろうな……?いやでもそれにしては様子がおかしいような……?なんか妙にニヤニヤしている気がする。俺たちは中庭前の下駄箱で話すことにした。

「お前って陰キャで目立たないやつだけどさ琴音ちゃんの兄妹だよな?……」

「うん」いきなりなんだよと思った。

内心俺はイライラしていた。


「えっと……なに?」

俺は平静を装って聞き返した。すると男子は意を決したように口を開いた。

「この俺と琴音ちゃんの仲を取り持ってくれないか!」

「……は?」

いやちょっと待て!今なんて言ったコイツ

「琴音ちゃんが好きで付き合いたいんだよ……」

やっぱり聞き間違いじゃなかったか……。

確かに妹はスタイルが良くて性格が明るい

おまけに基本誰に対しても愛想が良い。

「いや俺に言われても...あと妹は俺のことが好きなんだ!」

『そりゃ兄妹だしlikeの関係ではあると思うけどな』

違うのだ。俺と琴音は付き合っていて昨日もあんなイチャイチャしたのに... 俺は苛立ちを隠そうともせずに言った。すると男子は慌てはじめる。

「お前本気か?実の妹と恋愛しているなんて……」

「え……?いや確かに世間一般的ではないがお前に言われる筋合いあるか?」

『琴音ちゃんはな俺の彼女候補なんだよ!』

候補、待て 他にもいるのかと聞いた。

そしたらまたニヤニヤ顔で『当たり前だろ、俺は1人の女に満足する男じゃあないんだ』コイツ舐めてるなと思った。確かに俺よりはお似合いだろう。身長も高く顔も良い。学力とかはこれまで興味もなかったので知らないが、性格がとても悪い。これは完全な悪だろう。そう思った瞬間、いいしれぬ怒りが湧いてきた。

『こんなやつが琴音と付き合ってイチャラブしたいだと?』

俺は両手でヤツの胸ぐらを掴んでいた。相手は少し動揺しているように見える。まさかこんなやつが真っ向から牙を抜いてくるとは思わなかったのか?びびってくれたらありがたい、なにせ掴んでいてわかったが相手の体格がいいことに気づいた。これはまずい

『おい、今なら許してやる 放せよ。』

普段ならびびってやめるだろうが、今は頭に血が昇っていて放さない。それどころかできるだけ力を加えた。

『ちっ』と相手は舌打ちをして俺の胸ぐらを片手で掴んできた。あっという間に俺は壁に叩きつけられていた。大きな鈍い音が響いた『あんまり暴力は好きじゃないんだが...』と言って、覆い被されて右手を引いて殴る準備をしている...完敗だなそう思った時だった琴音と堀宮さんが声を上げて

『ちょっと、その人に何してるの?龍神君』どうやらこの男の名前は龍神と言うらしい。『へっ、ちょっと現実を教えてあげただけさクラスの目立たないインキャが俺に歯向かってきたからなぁ』俺は黙っている。琴音が近づいてきた。龍神を横目に見て、

『保健室に行こう、お兄ちゃん』

突き指したようだ ああ、こういう時俺を助けてくれる所が愛おしい。

『わかった』と言って立って龍神を睨んだ。『琴音ぇ、俺と居ようぜ、こんなインキャ兄貴とは居ねえでさ』

琴音は声を荒げた。『龍神君、君本当に人を下げて自分を上げるのやめた方がいいよ!

あと王様気取ってるの他の女子は知らないけど私はそういうの嫌い...』

堀宮さんが笑いそうになっている。龍神はショックを受けて何も言えないようだ。

保健室に行った俺一行はとりあえず堀宮さんには次の授業の先生に俺たちが保健室にいることを伝えて貰った。 

『ところでなんで保健室の先生はいつも居ないんだろうな?職務放棄か?』なんて言っていると琴音の様子がおかしい。

『大丈夫?お兄ちゃん?』

『ああ、大丈夫だ。』少し強がった。

『どうしてあんな状況になっていたの?』 俺は本当のことを話すのを躊躇ったが妹がまっすぐ俺を見ている。嘘をつくわけにはいかない。『琴音と付き合いたいと頼まれて俺が彼氏だと言ったら罵倒されたんだ。それで頭に血が昇って...』

『私のために....?』

『まぁ』なんだか恥ずかしくて、素っ気なく言った。妹がモジモジしだした、

『私のためになんて、嬉しい。ねぇ、お兄ちゃん、私を守ってくれたご褒美あげよっか』『是非とも欲しいです』

俺は素直に欲望に忠実に言った。そんな妹は色っぽく笑うと突然キスをしてきた。しかもディープな方だ。

『ジュ、ジュル、ジュ』唾液と唾液とが交換する音がなる。なんでこんなにも気持ちいいんだ

妹が言う。

『ねぇシチャおっか...』俺は無言で頷く。

俺が妹のでかいたわわに触れそうな瞬間だった。終礼の金が鳴り響いて俺たちは冷静になった。

『続きはお家でね、お兄ちゃん♡』悪戯っぽく笑うと保健室から出ていく。

終礼の金が俺の頭の中ではまだ鳴り響いていた。

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