第2話 俺も妹もおかしい
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・・
・・・あれ、なんか俺の上に何か乗ってる?というか柔らかいものが当たっているような……なんだこれ……? ふと目を開けると目の前に琴音の顔があった。「!?」
一瞬思考回路が停止しかけたが、すぐに状況を理解することができた。どうやら琴音は眠っている間に俺の布団に入ってきたらしい。しかも服を脱いでいるから下着姿のままだ。
「ちょ、おま……」
俺は慌てて離れようとするが、琴音が抱きついてくるため身動きが取れなかった。柔らかな感触と温もりに頭がクラクラしてくる。
まずいな……これは非常にマズいぞ……。
「おい、起きろ!」「むぅ……お兄ちゃんの匂いがする……」
琴音は寝ぼけているようで、なかなか離れてくれなかった。
「おーい、起きてくれー」
「んみゅぅ……」
ダメだ、全然起きる気配がない。仕方ないか……こうなったら直接起こしてやろう。
「おいバカ妹!起きろ!」バシッ! 俺は琴音の頭を軽く叩いた。すると琴音は目をこすりながら起き上がった。
「んぅ……なに?まだ夜中じゃん……」「早く起きろって。お前なんで俺の部屋にいるんだよ」
「え……? あ、そっか……」
琴音はようやく状況を理解したようだ。そして顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「あ、あの……これはね……そのぉ……」
琴音は何か言おうとしているが上手く言葉が出てこないらしい。そんな妹に俺は優しく語りかける。
「まぁとりあえず落ち着けって」
「う、うん……」
それからしばらく沈黙が続いた後、琴音は意を決したように言った。
「あ、あのさ! 私、お兄ちゃんのことが好きみたい!」
「いや知ってる」
「ふぇっ!?」
琴音は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻して話し始めた。
「わ、私が言ってるのは……その……異性として好きっていうことだよ……?」
「まじだったのか?」
「だ、だから……私と付き合ってください!」
「……えっ!?」
いやちょっと待ってくれ! なんでそうなるんだ!?俺はノーマルだぞ!妹と付き合うとか考えたことないし!「い、いや……あの……」
俺が返事に困っていると、琴音は不安そうに俺を見つめてきた。
その瞳は潤んでおり、今にも泣き出してしまいそうだった。
「ダメ……かな?」
くっ……そんな目で見られたら断れないじゃないか! 仕方ない……覚悟を決めよう。俺も男だ、責任はちゃんと取るべきだろう。それに可愛い妹から告白されて嬉しくないはずがないしな!
「わかった、付き合おう」
そう言うと琴音の表情がパッと明るくなった。
「ほ、ほんとに……?」
「ああ、本当だ」
「じゃあ……その、よろしくお願いします!」
こうして俺は実の妹と付き合うことになったのだった。
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