第21話 タイミングを逃しました
昼休み
そっと教室を出よう…
俺は、一人で静かに飯が食いたかった
…が、教室の外には出られなかった
何故なら…
「一緒にお昼食べる?」
赤阪が俺の背中に抱き着いてきて、上目遣いでそんな言葉を吐く
「…え?俺と?」
赤阪がこんな甘い声で言ってくるなんて、珍しい
タイミングが悪いのか、郡も俺たちのクラスに入ってきて
その様子をばっちり捉えていた
「笹岡君、これはどういう事?」
「いや、俺に言われても。赤阪が急に抱き着いてきたから…」
事実を話したが
「私というものがありながら…」
いやいや!
俺とお前、付き合ってないからな!!
「うわぁ~、本性むき出しになった会長怖いな~」
おい、赤阪!
お前は何故学習しない!?
そういや、ヒロは?
ヒロはどこ行った!!?
教室のどこを見ても見当たらない
あいつ、逃げやがったな!!
あぁ~、ストレスとかで早死に確定しそうだ…
そんなことを思ってると
クラスメイトの女子が
「そこまで笹岡君の事が気になるならさ、二人で食べさせるってのは?」
ちょっと待て!!
何で女子は、余計に面倒なことになりそうなのを言うのかな!?
俺の時間、少しでもいいから返してくれ…
という訳で、俺が取った行動は
「お断りします!!!」
二人には申し訳ないが、教室を出て食堂に向かうことにした
「あら~、逃げられちゃった…」
「元はと言えば、あなたのせいでしょ?」
後で聞いた話だが、二人は10分ほど言い争っていたという
♰♰
俺は、今し方食堂に着いたわけだが…
「ありゃ~、めちゃくちゃ混んでますな…」
入口の外まで見事に並んでいた
簡単な料理もあるが、数人の調理師がいるので本格的な料理が味わえる
つまり、出来上がるのに少々時間を要するのだ
購買も考えたが、すぐに売り切れる可能性が高いと踏み
あえて食堂を選んだ
しかし、少し時間が過ぎても列が一向に進まない
トラブルでも起きたのだろうか?
と、エプロン姿のお兄さんが出てきて
「すみません、食材切れのため、本日の営業は終了となりました…」
深々と頭を下げる
「おいおい、マジかよ…」
「せっかく楽しみにしてたのに…」
他の生徒たちは落胆している
かくいう俺もだ…
というか、いつもはちゃんとしているのに仕入れミスとかあったのか?
だが、終了となった以上ここにいる必要もなくなる
最後の希望として、俺たちは購買に向かう
しかし…
「全部…売り切れ…」
「そんな…」
パンやおにぎりが1個も残ってない…
タイミングを完全に見誤った
仕方ない…
ジュースで腹ごしらえするか…
が、自販機に残ってたのはブラックの缶コーヒーだけ
「はは…、今日はツイてないな…」
腹の虫がおさまらないが、少しでも胃に入れておく方がいい
俺は買って、ささっと飲み干した
まだ時間はあるから、中庭を散策するか
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