第17話 撃退しました

 時刻は夕方の6時を回る


モール内にアナウンスが流れる


『本日もご来店いただき、誠にありがとうございます。ただいまより、食品売り場にてタイムセールを実施いたします』


そう、俺が狙っていたのはこれだ


ここのタイムセールは、始まれば戦場と化す

それこそ、手をつないだ人がはぐれたりおしくらまんじゅう状態で息苦しかったりと

色々とハプニングも起こる


要は、この流れに乗りストーカーから視界を遮り、最後に撒くというのが俺の作戦

100%成功するとは断言できないが、うまくいけば成功する


そうと決まれば作戦決行だ


「行くぞ!」

「うん」


群衆の中には俺たちのような制服を着た学生もちらほら見える


で、ストーカーが追いかけるのに必死になっているところで


「こっちだ」

「…え?」


赤阪の手を引っ張り、群衆から離れて別の店へ入る


「ふぅ、何とか撒けたな」

「本当に大丈夫なの?」


少し心配気味の赤阪だが


「何かあったとしても、俺が守ってやる」


攻略対象のヒロインだから、これくらい言わないと

ゲームとしての意味がない


「…あ、ありがとう」

顔を真っ赤にしながら俯いていた


~ストーカーside~


「僕の澪ちゃんを連れている奴、絶対に許さない。必ず助けてあげるからね」


僕は必死になって、澪ちゃんの後を追った


服屋で楽しそうにしている澪ちゃん…


あの男、後で殺してやる


『本日もご来店いただき、ありがとうございます。ただいまより、食品売り場にてタイムセールを実施いたします』


モール内にアナウンスが流れると同時に、澪ちゃんとクソ男は手をつないで食品売り場へ向かっていった


「逃がさない」


だけど、大きな誤算があった

それは、あまりにも人が多すぎることだ


ほかの人の流れに乗ってしまい、澪ちゃんを見失ってしまった


逆方向へ体を向けても、まだ群衆の波は収まらない


「た、助けてくれ~~!!」


♰♰


タイムセールで大混雑しているころ、俺たちはモールの外にいた


一応、ストーカーから逃れることはできたが、これはその場しのぎに過ぎない

もっと確実な方法で捕まえないと意味がない


そのためには


「赤阪、この後予定あるか?」

「…え?特にないけど、どうしたの?」

「今日、俺の家に来るか?」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る