第16話 放課後デートしました
5月30日
今日も普通に授業を受け、飯を食べて、午後の授業
そして気付けば放課後を迎えた
「さて…と」
この日は特に問題なく終わる――
という訳にもいかなく
「あの…、笹岡君」
後ろから女の子の可愛い声がする
「この声は…」
ゆっくりと振り返ると、俺を呼んだのは赤阪だ
郡は生徒会、ヒロは用事があると言って先に帰った
「どうした、俺に用か?」
「うん…」
この様子から見て、この後起きるであろうイベントを予想
ここは乗ってやるのが筋だ
「今から、私と付き合って…」
教室にはまだ数人いたが
赤阪の意外な言葉に、驚いていた
「えええ!!?赤阪が笹岡と!?」
「まさか笹岡君、二股するわけじゃないよね!?」
「ちょっと待て!!二股って、どういう意味だ!!」
「え、会長とおつきあいしてるんじゃないの?」
「話が飛び過ぎだ!!」
一人の女子生徒が小悪魔的な笑みを浮かべて
「冗談だよ、笹岡君がそんなことをする人とは思えないから安心して」
「お前のその笑みが安心できる要素ではないが?」
「まあまあ、とりあえず赤阪さんのエスコートしてあげたら?」
「言われずともやるさ」
男子が気になっている女子をエスコートする
一度やってみたかったんだよな
♰♰
赤阪を選ぶと、この頃から物語が本格的に始まる
進むごとに、彼女の悩みと繋がってくる
そして、俺はその悩みの解決方法を知っている
チートではない
ゲームの知識を活かしているだけだ
「デートと言っても、どこに行くんだ?」
「んとね…、ショッピングモール」
「何か買いたいものでもある?」
「一応…」
曖昧な答えをする赤阪
実はもう、イベントが始まっているのだ
ショッピングモールに向かう俺たちだが、赤阪は決して後ろを振り返らない
同時に、嫉妬と殺気の混ざったオーラが後ろから微妙に漏れている
ここまで言えば察する人もいると思うが、赤阪はストーカーされている
俺と付き合えば、ストーカーも諦めてくれるだろうという赤阪の算段だが
その考えは甘すぎる
ストーカーは相手への執着心が異常に強い
対策を練っても、それ以上の手段で付きまとう可能性だってある
でも、俺はこのゲームのストーカーへの対策は知っている
相手も俺の動きを警戒しているからか、監視を続けている状態だ
♰♰
ショッピングモールに着いた俺たち
まず向かったのは、若者向けの服屋
俺はここに入る前に赤阪にある助言をしている
「この時間帯から、人の出入りが多くなる。タイミングを見て、人ごみに紛れよう」
要するに、ここにいるのは単なる時間稼ぎ
もう少ししたら、モール、いや、ショッピングならではのイベントが始まる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます