第15話 質問攻めされました
5月25日
まだ朝の7時前だというのに、家のインターホンが鳴る
「…一体誰だ?」
おおよその予想はつく…
眠い目をこすりながら、俺は玄関のドアを開ける
「……はい、どちらさま…?」
俺は、郡がこんな時間から来るのかと思っていたが違った
インターホンを鳴らしたのは、ヒロだ
「おはよう、勇。昨夜は楽しめたか?」
「ブッ!?お前、朝っぱらから何てこというんだ!?」
「その様子から見て、あったという事で」
「待て待て待て!!昨日は、普通に食事をしただけでその後は何もない!」
「でも、帰る前に何かあったんじゃないか?」
こいつ、鋭い質問をしてくるな…
「それは…」
「あったんだな!?」
「…誤解しないでほしいけど――」
俺は、その時の事を話す
「はぁ、何だ。俺の早とちりだったか」
「早とちりって…」
「いや、仲良さそうに帰るお前らを見て、これはいい展開が待っているかもって期待してたんだけど…、そうでもなさそうだな」
「期待って…お前なぁ」
「ま、この件はひとまず保留ということにしとく」
「どういうことだ?」
ヒロの言っている言葉が少し理解できなかった
「学校に着いたらすぐわかる」
♰♰
教室に入るなり
「おい、笹岡!昨日、会長の家に行ったんだろ!?どんな家だった!?」
「会長の料理は美味かったか!?」
「いい雰囲気に流れることがあったのか!?」
クラスの男子がスクープを逃さない記者のように俺に間髪入れずに質問攻めしてくる
ヒロが言ってたのってこういうことか…
「待て待て!そんな一気に聞かれても答えられない!順に説明していくから」
昨日の事のあらましを説明
「くっそ~~!俺も食いたかった!」
「笹岡、羨ましすぎるぞ!!」
男子は嫉妬と羨望の嵐
一方女子は
「ったく、クラスの男どもは固執しすぎというか…」
「うちらの事なんか眼中にない感じだね…」
「でも、笹岡君は…いい人だと思う」
「それな」
「いつか、郡さんとお付き合いするのかな?」
「さあ、それは笹岡君次第よ」
と、半ば呆れと勇の人柄の良さを話していた
♰♰
~郡side~
「おはよう」
「聞いたわよ、朱音。同じ学園の笹岡君を家に招待したんだって?」
私は、クラスメイトの女子に質問される
「え、ええ…。そうだけど、それが何か?」
「うわぁ、男子にはこれっぽっちも興味がなかった朱音がついにね…」
「…な、何?」
「朱音にも春が来たってみんなに知らせないと」
「ちょっ!?それはいくら何でも早すぎるわよ!?まだ、お付き合いもしてないんだから…」
「でも、いずれはしたいと?」
「うっ…」
女子ってこういうコイバナには鋭く突いてくるのよね…
「そういうあなただって、付き合ってる彼氏がいるじゃない!私の事なんか気にしてないで今の付き合いに集中しなさい」
「はいはい、真面目な朱音さんのいう事聞くとしますか」
「含みのある言い方ね?言いたいことがあるならはっきり言いなさい」
「別に~?」
はぐらかされた…
タイミング悪いことに、次の授業のチャイムが鳴った
でも、本当に笹岡君と付き合うことになったら…
そう思うと、顔が真っ赤に染まってしまった
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