第10話 アプローチされました
5月22日(月)
俺は無事に退院
ただ、先生からは
「週に1度、腕の様子を確認させてください。それと体育の授業ですは、しばらく見学のままでお願いします。球技や水泳の授業があると思いますが、どれも腕に負担がかかるものばかりです。無理に動かせば内出血を起こし、最悪の場合は腕ごと切断なんてことにもなりかねないので、絶対に安静にしておくこと。いいですね?」
と念押しされた
俺だってスポーツをしていた人間だ
約束は絶対守る
♰♰
5月23日
約1か月ぶりの登校
玄関前には
「おはよう、勇」
「おはよう」
ヒロが待ってくれていた
「腕は大丈夫なのか?」
「まあな。ただ、体育とか運動は完治するまではしない事って先生に釘を打たれた」
「そうか。それ以外はいつも通りってことだな」
校門前には
「あ、笹岡君!!」
まるで、彼氏でも待っていたかのように郡が走ってきて、俺の体に抱き着いてきた
「お帰りなさい!」
「お、おう…、ただいま…」
ここ、家じゃなくて学園なんだけど…
というか、原作の郡なら最初こそは手をつなぐかで顔を真っ赤にしてたほどピュアだったが、最終的にはヒロにべったりするまでになっていた
本来の郡は、甘えん坊ということか…
しかし、それ以上に…
「あの野郎…、会長を助けたからっていい気になりやがって…」
「抹殺するか?」
「主に、社会的に…」
男子たちからの視線がめちゃくちゃ痛い
まあ、郡は美人だし嫉妬するのは当たり前と言えば当たり前…か
「あなたたち、聞こえてるわよ」
郡も、その声が聞こえていて、奴らの元へ歩み寄り
「今度、私と笹岡君の前で妙なことしてごらんなさい?あなたたちが、社会的に抹殺されるかもしれないわよ?」
と睨みつけ
「ひぃっ!?」
その気迫に怯んで逃げた
情けない
最初から言うなよ
♰♰
教室に入る前に、赤阪が待っていた
「あ、おはよう!」
何の
「こ、こら!笹岡君はケガしてるのよ!?」
郡がすぐに怒る
「ごめんって。いつもの癖で」
「いつもって…。笹岡君、毎日この子に抱き着かれてるの?」
「まあ、俺を含めて全員かな…」
教室にいた全員が、目を逸らした
それを聞いた郡は、赤阪を睨み
「あなた、スキンシップにも限度ってものがあるわよ?少しは恥じらいを持ちなさい…」
「えぇ~?これしないと、何か落ち着かないんだよ。だから…ね?」
赤阪は軽くウィンクする
「ね?じゃないでしょ!?これはさすがに看過できません!!」
「うわぁ、会長の権限でスキンシップ禁止なんて言い出しそうで怖い」
「…そ、そそ、そんなことはないわ!」
図星だった
同時に、予鈴のチャイムが鳴る
「って、遅刻するわ!それじゃ、笹岡君またね」
脱兎のごとく、自分の教室へ走っていった
というか、会長が廊下を走ってどうするんだよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます